第49話

第 49 話 懇親
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2024/02/23 10:54


九十九 由基
七海くんも一緒にどうよ?私払うよ?
七海 建人
生憎私は先約があるので、お先に失礼します
あなた


 居てくれると思って七海頼りだったあなた、顔面蒼白。

九十九 由基
ちぇーっ。つれないなあ
七海 建人
それじゃあ、あなたさん
あなた
は、はい
あなた
お菓子ありがとうございました
七海 建人
はい。あちらでも頑張ってくださいね
七海 建人
''また''お会いしましょう


 その言葉は、あなたの心に深く刺さる。

あなた
……はいっ!




 都内某甘味処にて──

あなた
それで、私に突然何の……?
九十九 由基
んー? お友達になりたくてね!


 想定外すぎたその返答に、思わず変な声が出た。

あなた
……友達っ?
九十九 由基
今日は難しい話はいいの!
あなた
えぇ……?


 しばらく沈黙のまま。
 気まずさからあなたが口を開く。

あなた
九十九さんは──
九十九 由基
由基でいいよっ


 頬杖をついて、ニマッと笑う九十九。

あなた
……由基さんは
九十九 由基
『さん』やだ〜! せめて『ちゃん』!


 口を閉じ、眉を曲げるあなた。

あなた
……特級の方に『ちゃん』付けなんて出来ません……
九十九 由基
いいじゃん私が良いって言ってるんだし!
九十九 由基
それに、どうせあなたちゃんあと半年もしたら特級になってるでしょ?


 九十九は和菓子に夢中で、あなたとは目も合わせずにそう言った。

あなた
……あの、別に面白くないですよ


 ガッと勢いよく顔を上げる。

九十九 由基
いや別にウケ狙いじゃないよ!?
九十九 由基
見れば分かる! それくらいの実力がある!
九十九 由基
やっぱ五条くんは見る目あるね〜
九十九 由基
六眼だからかぁ
九十九 由基
って、関係ないかー!?
あなた
……


 ──この人、別に友達居なくても1人で話していられそう。

九十九 由基
キミは、兄ちゃんとはまた違う目をしてるね
あなた
……どういう意味ですか?
九十九 由基
ん? そのままの意味だよ?
九十九 由基
はぁ、久々に日本のスイーツを食べられて嬉しい


 ひたすら頭に『?』を浮かばせるあなたを放置し、お菓子を頬張ってうっとりしている九十九。



九十九 由基
美味しかった~!
あなた
本当に良いんですか?
九十九 由基
もちろん。私が誘ったんだから!
九十九 由基
可愛い後輩に奢るのが先輩の勤めってやつ
あなた
じゃ、お言葉に甘えて……
あなた
ご馳走様でした
九十九 由基
ハイハーイ


 九十九はバイクに跨ると、あなたにヘルメットを渡す。

九十九 由基
ほら、乗りな! 高専戻るよ〜


 あっという間に、高専入口前に着く。

九十九 由基
到着!


 あなたはバイクから降りて、ヘルメットを九十九に手渡す。

あなた
今日はご馳走様でした。それから、送っていただいてありがとうございましたっ
九十九 由基
こちらこそ楽しい時間をありがとう!


 そう言われたあなたの笑顔からは、喜びの気持ちが滲み出ている。
 そして噛み締めるように頷いた。

九十九 由基
じゃまた! バイバーイ!


 手を振るあなた。
 不思議な九十九にあなたは拍子抜けである。

 ──行っちゃった。本当に最後まで何も無かった。
 この間の京都校の2人といい、私、すっかり尋ね人だなぁ。
 やっぱり''妹''ってネームバリューのおかげなんだろうけど。

パンダ
あ、あなた! ったく、どこ行ってたんだよ~


 探していたのだろうか。
 パンダがこちらへ走ってくる。

パンダ
もう送別会の準備出来てるぞ!
あなた
うん! ごめん、今行く!


 パンダの元へ走る。
 送別会には、いつもの3人が集まってくれていた。参加予定だった五条は任務で遅くなる、とのことで。
 その晩は、明日から離れる寂しさを忘れて盛り上がり、そのまま全員、部屋で眠りについてしまうのだった。
 あなたは未だ、荷造りが中途半端なことを忘れて──

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