お風呂から上がり
濡れた髪の毛を拭きながらリビングへ向かう
すると、それに気付いたかれが
「乾かさないとダメでしょー!」
とぷくっと頬を膨らませて
もー!!と言って怒っている
乾かして欲しいから濡れたままなんだよなぁ
なんてそんなこと言える訳がない
「こっちおいで」
彼の足の間に座る
「スングァンが乾かしてくれるからいーの」
「そんなこと言ってー!うれしいうれしい!」
ご機嫌に髪を乾かす彼
ドライヤーの暖かい風と
優しい手つきに
眠たくなる
「あなた?眠たい?」
「んーん」
「眠いなら寝てもいいよ?」
「やだ、寝ない」
「ほぼ寝てるよ?笑
はい、おわり!」
乾かし終わったドライヤーを置いて
おいで!!と両手を広げてるから
すっぽりとその腕の中に収まる
「スングァナ、ありがとう」
「んふふ、どういたしまして!」
そう言うと、私の頭にそっと唇を添えた
「これからもずっと乾かしてあげるからね」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!