第3話

俺、バイトやります
38
2019/07/24 16:14


無理矢理とも言える身支度に
心底呆れる


黒Tシャツにジーパンという簡単な服に着替えて
寝癖を直す



自分で言うのもあれだが、両親は容姿はいい為
遺伝で顔立ちはいいほうだ



様になってるな、俺


大きな鏡の前で軽くポーズをする





....モデルになろっかな、俺

父、寛馬
父、寛馬
魁斗ー!
行くぞー!
魁斗
魁斗
....はいはい
はぁ....


俺を置いていこうとする両親に舌打ちをして
急いで外に出た




まぁ、自分に見惚れてた俺が悪い





最近外に出てなかったから
太陽が眩しすぎて目が覚めた



庭の花達が元気にしているのを見て
安心する



親父が助手席を開けてババアを乗せているのを見て
少し笑えた




赤のアクアに乗ってLifeに向かう




この間も前席で行われている
夫婦のイチャラブ運転に吐き気を覚えた



早く終わってほしい、この地獄の時間
そう思いながらイヤフォンで耳を塞ぎ
自分の世界に入った




ーーーーーー











着いた所は

レトロな雰囲気のオシャレなコーヒー店だった




レンガ造りの壁

フェイクグリーンに包まれた外装

綺麗な筆記体が書かれた看板




今まで魅力的な店を見てこなかったから思わず
見惚れていた





両親はさっさと中に入っていく





....あの人達は待つという概念がないらしい




カランカランとなるドアを開ける



バニラの香りが俺を包んだ




中は木材で作られたイマドキの女子が好みそうな店だった


カップルや女子が溢れている






店主
店主
あ、いらっしゃいませ。
寬馬さん、来てくださったんですね。
息子さんも連れて。ありがとうございます!
父、寛馬
父、寛馬
いやいや。
それにしてもいい店だね



どうやら、彼が店主らしい


若く見えるな。


なぜ、親父と知り合いなんだろう



店主
店主
息子さんの魁斗くんだね?
俺はここのオーナー、和真というんだ。
よろしくね
魁斗
魁斗
........どうも


人付き合いが苦手な俺は
愛想が悪そうな挨拶になってしまった
母、和恵
母、和恵
素敵なお店ね。
オーナーもイケメンさんでいいわぁ


ババア、親父がいるだろ


店主
店主
実は君をバイト勧誘する為に呼んだのだけど....
まだ決まってないようだね


一言で言うが断わる気だ


人付き合いが苦手な俺に接客業は似合わない
親父もわかってるはずだが

ババアを見ると
自分で言え、と言わせるような目力で俺を見てた



ごめんなさい、できません





そう断ろうとした時


後ろでカランカランと扉が開いた






振り返るとそこには....










美月
美月
兄さん、買い出し行ってきたよ
....誰?
店主
店主
お、帰ってきたか。
魁斗くん。紹介するよ。
俺の妹、美月だ









なんて、綺麗な女性なんだろう




魁斗
魁斗
ど、どうも....
美月
美月
........ふーん
 俺は今さっきのオーナーとの挨拶とは違った
緊張を持ってしまい、思わず噛んでしまった





恥ずかしくて、彼女の顔を見ると


彼女は興味無さそうに俺達を見て


厨房へ入った



すれ違った時、俺の大好きなラベンダーの香りがした


胸がキュンと高鳴る






オーナーの妹か



すごい綺麗な人だな....









....よし、決めた
魁斗
魁斗
俺、バイトやります

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