第15話

修学旅行は波乱の幕開け!?


今日から待ちに待った3泊4日の修学旅行!

うちの高校は代々温泉のある雪山にスキー体験に行くのが伝統だ。


早朝学校に集まって、大型バスへと乗り込んでいく。

バスは運良く遊佐くんのクラスと一緒だ!
心美
心美
(あわよくば遊佐くんの隣の席に……!
そしてお預けだったスケベを解禁!!
ふふ…考えただけでニヤニヤしちゃう!)

なんて期待していたのに……。
清井先生
清井先生
男女が入り混じって
席に座るなど、言語道断ごんごどうだんです
通路を挟んで右側が女子
左側は男子に分かれて席につきなさい

清井先生の冷ややかな声は
バスガイドさんよりも響き渡った。

心美
心美
(ぐぬぬ…なんで清井先生が!
引率いんそつは違う先生だったはずじゃ…)
心美
心美
せっかく思い切り遊佐くんと
スケベできると思ってたのに!

悔しさを噛みしめながら
親友さっちょんの隣へと座る。

不満そうな顔をしていると先生と目が合った。
清井先生
清井先生
何か問題でもありましたか? 
私はもう逃げませんよ
旅行中はこれまで以上に
厳しくしますので
くれぐれも気を抜かないように
心美
心美
うぐ……
清井先生
清井先生
そして今回は私の他に風紀委員として
たいらくんにも協力してもらいます
いいですね?
風助
風助
……はい先生

通路を挟んで隣、風助くんが手を上げた。

今まで気づかないくらいに影が薄く、なぜか魂が抜けたように憔悴しょうすいしきっている。
心美
心美
ふ、風助くんどうしたの?
風助
風助
…………

彼にくっついていたスケベアーは見当たらない。
それに出張中のリセイウチも姿が見えない。

きっと清井先生の生徒指導のせいだ……。


私を避けていた先生はどこへやら。

やる気満々の鬼の目には燃え盛る炎が見えた気がした。
心美
心美
(ど、どうしよう……このままじゃ
遊佐くんとのスケベな修学旅行が
台無しになっちゃう!)

なぜかスケベアーたちは清井先生を怖がって
ガタガタと震えているし……本当に困ったものだ。

紗季
紗季
心美どうしたのよ、黙り込んで
隣が私で不満なの?
心美
心美
ち、違う違う! 
清井先生がちょっと怖くて……
紗季
紗季
分かる!
せっかくの修学旅行なのに
あれじゃ楽しめないわよね…
私だってこの旅行にかけてるんだから!

親友のさっちょんは相変わらず
キラキラ生徒会長の光くんを口説き中らしい。

紗季
紗季
そうだ!心美
……ちょっと耳かしなさい
心美
心美
え?
紗季
紗季
今夜、部屋を抜け出して…
…ごにょごにょ……
心美
心美
え……!!
…先生を閉じ込める?!

さっちょんとの悪巧わるだくみはトイレ休憩まで続いた。






清井先生
清井先生
では30分、トイレ休憩をとります
速やかにトイレに行き
寄り道せずに席に戻って下さい


パーキングエリアにバスが列をなして停まり、
生徒たちは騒がしくバスを降りていく。
心美
心美
(今だ!)

鬼が降りた瞬間、後ろを振り向くと
最後尾の席で遊佐くんが眠っていた。
心美
心美
(遊佐くん……寝てる?)

起さないように近づいて空いている隣の席へと
こっそり座る。
遊佐
遊佐
んー…すぅ…すぅ……
心美
心美
遊佐くんの寝顔だぁ……

長いまつげと、綺麗な首筋。
無防備なその顔に胸がドキドキと音を立てる。
心美
心美
(キス……していいかな? 今しかないし!だ、誰も見てないしいいよね?!)

何度か周りを確認し、ごくりと生唾を飲む。
スケベアー
スケベアー
キス、発射準備!!
スケベアー
スケベアー
よーい!いけーーー!

スケベアー達の掛け声とともに、彼の唇めがけてーー
遊佐
遊佐
ぷっ、変な顔


がくっ!! 

突然起きた彼のせいで体勢を崩してキスは不発。
心美
心美
遊佐くんの意地悪!
起きてたなら言ってよ!
遊佐
遊佐
ぷっははは!!ごめん

くすくすと笑う彼は、私の手を握って小さく囁く。

遊佐
遊佐
お前今からここに座れ
心美
心美
え……でも先生が見張ってて
遊佐
遊佐
あ? そんなの知らねーし
これでも被っとけばバレねぇだろ?

遊佐くんは少し乱暴な手つきで私にコートを被せた。

遊佐くんの匂いに包まれて、
思い切り深呼吸したいところだけど……
心美
心美
でも、バレたらすぐに生徒指導だよ!
遊佐
遊佐
あの先生も途中でバスから
降ろしたりしないだろ、それに……
心美
心美
それに……?
あれ、遊佐くん?!
遊佐
遊佐
………眠い

手を握ったまま彼はまた眠りについた。

起こすのも申し訳なくてそっと席を立とうとしたら、固く握られた手が解けない。
遊佐
遊佐
うーん……離すなよ、心美
心美
心美
え、ちょっと手離してよ遊佐くん!
(ど、どどどうしよう……!)



バスには続々と生徒たちが戻ってきた。