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第6話

魔法を解くのは遊佐くんのパンツ?!

風助くんに連れられて来たのは
有名ブランドショップ。

セレブ御用達といった外観に思わず足がすくむ。

心美
心美
え…こ、こんな場所入れないよ!

ガラス扉の両横にはスーツ姿のドアマンが2人立ち、見るからに高校生が出入りするような場所ではない。
風助
風助
大丈夫、オレここよく来るんだ
ほら女の子ってみんな
ブランドもの大好きっしょ?
心美
心美
そうなのかな?
風助
風助
あれ、もしかして嫉妬した?
安心して、オレはもうスケベちゃんしか
興味ないから
心美
心美
そ、そういうことじゃなくて!
ほら、こういうお店ってお金がっ
風助
風助
スケベちゃんは気にしなくていーの!
今日はクリスマスだろ?

そう言って少し頬を染めた彼は、私の手を引いてショップ店内へ入っていく。

店内には上品な香りが満ちて、店員さんがこちらにお辞儀する。

心美
心美
うわぁ…これって、香水?

ガラスケースには宝石のような香水が並んでいる。

それを眺める彼の横顔は
やけに大人びていてはっとする。

でも大人びた香水瓶は、なんだか身の丈にあってないような気がしてーー
風助
風助
オレこのブランドの香水使っててさ
ほら、あのマリリンモンローだって
寝る時の服装は香水って答えただろ?
風助
風助
香りって結構大事だと思うんだ


店員さんに勧められ、
風助くんは慣れた手付きで香りを試している。

そんな様子をぼーっと眺めていたら
ふと後ろから声をかけられた。
遊佐
遊佐
心美……?
心美
心美

振り返ると見覚えのある顔。

あれ……誰?

でも、思い出そうとしても頭の中にはモヤがかかる。


風助
風助
くそ……いいところだってのに
ほら、スケベちゃん
知らないやつは無視しよーね

ぐっと背に手を回されて風助くんに抱き寄せられる。

遊佐
遊佐
てめぇ!
風助
風助
しー、静かにしなよ
それに今デート中だから
邪魔しないでほしーな
遊佐
遊佐
は?
そいつ俺の彼女なんだけど
風助
風助
ははっ、距離置こうって
言ったのはあんただろ? 
こんな中途半端な男より
オレの方が幸せにできるよ
遊佐
遊佐
お前はただ自分の気持ちを
押し付けてるだけだろ!
心美の気持ちなんて考えずに一方的に
それで本当にいいのかよ?
風助
風助
じゃああんたは何?
スケベちゃんが寂しがってても
放ったらかしでいいのかよ
遊佐
遊佐
いいわけねぇだろ……
そんなの俺が一番後悔してんだよ!

怒りか湧き上がるような低い声が背後から聞こえる。

その声を聞いたスケベアーたちが私の周りで慌ただしく騒ぎ出した。
スケベアー
スケベアー
遊佐だ!!
スケベアー
スケベアー
心美の彼氏だぞ!!
心美
心美
(え?!何?どうなってるの?!)

明らかに修羅場な空気とスケベアーたちの騒がしさに混乱する。

すると風助くんの襟元から
いまだ囚われたままのセイウチが顔を出した。


心美
心美
(リセイウチ?! 無事だったの?)
リセイウチ
リセイウチ
嬢ちゃんよう聞きや!
今、嬢ちゃんは大事な記憶を消されとる
リセイウチ
リセイウチ
何も考えず後ろの男と逃げるんや
ワシももう少しで戻るさかい!
心美
心美
え…?
遊佐
遊佐
心美、行くぞ

後ろからぎゅっと握られた手が熱くて
思わず振り返る。

彼と目があって、なぜかほっとした。
遊佐
遊佐
走って
心美
心美
う…うん!
風助
風助
は? 待てよおい!

手を引かれ、彼の背だけを追って店を出る。

店の前に止めてあった車の後部座席に私を押し込んで、彼は隣に乗り込んだ。
遊佐
遊佐
マネージャー、車出して
マネージャー
これからモデルの仕事だよ?!
何してるの
遊佐
遊佐
いいから!


そして車はゆっくりと走り出した。




クリスマスの夜の街が窓の外を流れていく。


彼はまだ私の手を握ったままで
何故か鼓動だけがドキドキと速くなっていく。
遊佐
遊佐
お前、やっぱ誰でもいいわけ?
距離置いてた間に
もう俺のこと好きじゃなくなった?

彼は窓の外を眺めながら少し不安そうな声だ。

心美
心美
あ、あの……
その前に誰ですか?
遊佐
遊佐
は?!

こちらを見て固まった彼の目が点になっている。

遊佐
遊佐
お前、冗談キツいぞ
心美
心美
いや冗談じゃなくて
本当に記憶が飛んでるみたいで
遊佐
遊佐
……嘘だろ

絶句した彼はしばらく私をじっと見つめて、ぐっと顔を近づけた。


遊佐
遊佐
本当に覚えてねぇの?

距離を詰めてくる彼のせいで
窓にこつんと後頭部をぶつけた。


心美
心美
ぅう…ごめんなさい

キスされそうなほどの距離に思わず息を飲む。

ドクドクとうるさい心臓に呼応して
スケベアーたちもお祭り騒ぎだ。



すると彼は布状の何かをバッグから取り出して
そのまま私の頭にすっぽりと被せた。
心美
心美
へ!? な、何これ!!
遊佐
遊佐
俺のパンツ一生被っとけ
このスケベ女!!
彼氏のこと忘れるとか
まじありえねぇから!

彼の声色から、相当怒っていることが伝わってくる。

だけど、パンツのしっとりとした布が顔面を包みこみなんだか幸せだ。
心美
心美
(こ、このパンツどうなってるの?!
脱げない!ちゃんと謝らなきゃ…!
でももう少しこのままでも…)

そんな葛藤の中、靄がかかった頭が徐々に鮮明になり記憶が色づいていく。


それは、彼と出会ったときの記憶でーー
遊佐
遊佐
おい!聞いてんのかパンツ泥棒!

そう、あの時遊佐くんは私のこと
パンツ泥棒だと勘違いしたんだっけ……。


スケベな私の大好きなドSな遊佐くん。

どうして忘れることなんてできたんだろう。
こんなにも大好きな彼を。

心美
心美
遊佐くん……

盛大な鼻血とともに
私は遊佐くんのすべてを思い出した。