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第4話

思い出すのはあの日の約束


冷たい風に身を震わせる下校時間。

私はゴミ箱からこっそり拾っておいたペアリングを
ポケットの中で握りしめた。

あの日から遊佐くんは目も合わせてくれない。

今日で二学期も最後、冬休みに入っちゃうのにーー


紗季
紗季
待って心美!!帰っちゃうの?
さっき遊佐がクラスの女子に
クリスマスの予定聞かれてたよ?

振り返ると親友がそこにいた。

そっか、クリスマス……そんなのもあったっけ。

心美
心美
ごめんさっちょん…
今の私には遊佐くんをデートに誘う
権利なんてないんだ

さっちょんには何度も相談したけど
結局答えは見つからないまま。

紗季
紗季
心美らしくない!
遊佐の家に突撃して襲っちゃえば?
今までならそれくらいやってたでしょ
心美
心美
襲っ……!!

ずっと眠っていたスケベアーがパチリと目を覚ます。

心美
心美
だめ!それじゃ何も変わらないよ

スケベアーたちは煮えきらない私に抗議している。

でも、ごめんね。

これ以上無鉄砲にスケベして
遊佐くんの心を傷つけたくないんだ。


私は引き止めるさっちょんをそのままに
重い足取りで帰路についた。






心美
心美
(遊佐くん、クリスマスは
他の女の子と過ごすのかな)

そんなのやだ、やだやだやだ…!!

遊佐くんとの初めてのクリスマスだったのに。
うじうじと考えて目線が下へ下へと落ちていく。





ガバッ!!
心美
心美
うわああ!!痴漢!

突然後ろから抱きしめられて思わず叫んでしまった。
風助
風助
スケベちゃんゲットー
てか、痴漢はひっでーな

振り返ると風助くんが嬉しそうな顔で私を見ていた。
風助
風助
せっかく隣の席なのに
スケベちゃんは目合わせてくんないしさ
オレすっげえ寂しかった
心美
心美
は、離して!!
風助くんのせいで
遊佐くんと拗れたんだから!
風助
風助
だーめー離さない
だってこんなに体冷えてるし…
これ、あげるよ


手に持たされたのはホットレモンの缶だった。

じんわりと冷えた指先が温まってゆく。

心美
心美
こんなの貰えない
風助
風助
いーのいーの
だってその代わりに
オレはスケベちゃんで温まってるから

不意打ちでぎゅううっと強く抱きしめられた。

彼の体温が背中から伝わってくる。


どこか甘くて、でも掴みどころのないセクシーな香水の匂いに包まれた。


なんだか頭がクラクラする。
風助
風助
ねぇ、今フリーなら
オレとクリスマス過ごさねー?

耳元で囁かれたハスキーボイスに、スケベアーたちも満更ではない様子。


このままじゃ彼のペースに飲み込まれちゃう……!


心美
心美
だめ!

思い切り身体をよじって彼の腕から脱出した。

風助
風助
あーあ
やっぱりあんたには効かねーか
他の女ならすんなりオチてくれるのに

そう言って彼は小さく舌打ちをした。
心美
心美
もうやめて
私は遊佐くんの彼女なの
だから風助くんの遊びには、
風助
風助
遊びって、、
ねぇ、スケベちゃんの目には
オレってどう映ってるワケ?
心美
心美
え?
風助
風助
女にだらしないスケベ男子?
それとも、危険で邪魔なだけの存在?
心美
心美
それは…

言いよどんでいると、彼は眉を下げて私の目をじっと見つめた。

風助
風助
ねぇ、本当にオレのこと覚えてねーの?
桜の木の下で交わした約束だって…
まだ小さかった頃、、
心美
心美
桜…? ごめん私、
両親が事故に遭う前の記憶は
ほとんど覚えてないんだ…

悲しい記憶はできるだけ思い出したくない。 

だから精いっぱいスケベ心でごまかしてきた。



そんな時、ポトリと頬に落ちてきたのは雪の結晶だった。

見上げれば雪がハラハラと舞い落ちて、それはまるで桜の花びらのようで……
心美
心美
桜……

記憶の断片がうっすらと蘇っていく。








心美
なら、ふうくんも
ここみのかぞくになればいーよ!
男の子
かぞくって何?
いいものなの?
お父さん
そうだな、いいもんだ!
二人がおおきくなって
結婚すれば家族になれるぞ
お母さん
ちょっとあなた!
心美
ここみ、ふうくんとけっこんする!

まだ幼い私は男の子と約束を交わした。









どうして今まで忘れていたんだろう…。

目の前の風助くんは、どう見てもあの日会った男の子なのに。
風助
風助
オレ、寂しさを紛らわすためだけに
女を抱いてきたんだよ…
だってほら、人肌って最高だろ?
風助
風助
でもそれってさ
結局心は空っぽのままでさ
心美
心美
風助くん...…?


ひらひらと舞い落ちる雪が彼の頬に落ちた。

それはまるで涙のように溶けて頬を伝っていく。



風助
風助
俺、親いねーんだわ
心美
心美
え…
風助
風助
施設育ちのオレにはさ
家族なんてなくてもよかったんだ
風助
風助
でもさ、あの桜の下で
あんたが家族になろうって言ってくれて
すっげえ嬉しかった


そうだ私ーーーあの子にそう言った。


風助
風助
オレには…
あんたしかいないんだよ

そう言って彼は悲しそうに笑った。