突っ返されるやろうなって、嫌な予感ばかりしてたから、思いもよらない返事にはしゃぎながら帰ってたら、しげがみんなより歩くのが遅いことに気付いた。
歩く速度を落としてしげの隣に行ってそう聞くと、しげは僕の腕をぎゅっと握った。
小さな声でそう言ったしげの額に手を当てると、すごい熱。
目がうるうるしてるし足元もふらついてる。
そういえば事務所行く前からなんや今日はしげおとなしかった。
前を歩くみんなに声をかけると、みんなが振り返って一斉に走り寄ってきた。
声をかけるまくるみんなを落ち着かせて、一緒に行ってくれる濱ちゃんとタクシーつかまえて乗り込んだ。
心配そうに僕らを見送る他のみんなに「気を付けてな」と声をかけて病院に向かった。
目をつむってしんどそうに僕にもたれかかってそう呟いたしげに、「謝らんでいい」そう返した。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。