第23話

濱田side
1,061
2018/06/13 13:28
重岡
はーまーちゃんっ!
レッスンの帰り道、後ろから腕を引っ張られて振り向くと、しげが笑ってた。
濱田
あ・・しげ、今日はこっちなんか?
いつもとは帰る方向が逆でそう聞くと、「用事があるねん」って僕の隣に来る。





しげと話すのは何日ぶりか、最後に話したんってそういえばカウントダウン前や、って頭の中が気まずいで埋め尽くされる。


でも、しげの方は普段通り、鼻歌歌いながら歩いてる。




しばらく、何も話せず、ただしげの鼻歌だけが響いてたけど、俺の限界が来てしげの方を見た。




濱田
なぁ、俺らのこと気にせんくてええからな

僕の言葉に、しげの鼻歌がピタッと止まって、歩くのをやめた。
濱田
4人はやっていける。俺やってそう思う。
俺らはさ、ずっと友達でおれるし、それにもう無理やろ?

もう俺は諦めちゃんとついてるから、やから、気にせんくてええで。
しげは僕の顔を見ずに首を傾げて、唇を噛んでた。


重岡
なんで・・諦めるん?


そう言って僕を見たしげの目は、微かに潤んでた。
重岡
俺は、気にするとかしないとか、そんなんちゃうねん。
3人は絶対に必要なんや。何年も一緒にやってきたんやから分かる。

濱ちゃん、濱ちゃんおらな、あかんよ。

濱ちゃんがおらな、いいグループにならへんよ。
しげは強く言うと、「じゃあ、俺こっちやから」って手を振って去っていった。




目の奥が熱くなって、こんな歩道の真ん中で涙を流してる。



4人が選ばれた時、

ああ、俺はやっぱりあかんかったんやなって、落ち込んだ。


全然自慢なんかならへんけど、ジュニアは長いことやってきて、みんなに負けんように頑張って、俺にできることは全部やったつもりやった。



それでも、やっぱり俺はあかんかった。


どんなに努力したって、俺には才能がないんかもしれへん。

この仕事、向いてないんかもしれへん。



昨日なんて、求人情報調べたくらいだ。






こんな俺が、必要やって、言ってくれる。


別に、こんな俺がグループにいたっていなくなって、そんなに大して影響ないと思ったけど、



少なくとも俺は、しげに必要とされている。




そのちょっと後だった。

ドラマの仕事中だった流星からメールが来た。




淳太君と照史君、めっちゃいろんな人に7人にしてほしいって話してるって今日スタッフさんに聞いた。
俺らも、頑張ろうや。




前を向こうと思った。



見てしまえば、後戻りしそうなことや、つまずいてしまいそうなものは、もう見ないようにしよう。




諦めた、なんて簡単に口にするけれど、


本当はそんなの簡単にできひんし、




ずっと、


俺やって7人でおりたい。

プリ小説オーディオドラマ