近くのコンビニで飲み物を買って、みんなで円になって休憩。
しばらくいろいろ話してたけど、
しげのお父さんの、「ちょっとええかな」って一言にしんと静かになった。
お父さんは、どこか言いにくそうで、隣にいるお母さんは、両手を握って緊張した表情。
全員が身構えた。
ーそれから
そう言った後、お父さんは自分を落ち着かせるように一呼吸置いた。
お父さんの言葉に、空気が重たく変わった。
いろいろと取り出しながら話すお父さんを見ながら、カバンが大きかったのはこのせいなんやなって、納得する。
その後お父さんは、発作の時の対処方法とか、しげの病状を詳しく説明してくれた。
お父さんは、話し終えると僕ら全員を見た。
隣の神ちゃんが、顔を上げたのが分かって、僕ら6人、同じ緊張感が走ったのも分かった。
その時初めて、
きっと初めて、自分が、僕らが、どれだけ重いものを背負ってるのかを理解した。
涙ながらに言うお母さんに、僕の胸もぎゅっと痛くなった。
ーやから、頼むな。
お母さんの手を握ってあげながらそう言うお父さんの目も、涙で潤んでいた。
痛いほどに、二人の気持ちが分かってしまうから、
どうしようもなく、涙があふれる。
ふとそんな声がして顔を上げると、照史が泣きながらも、微笑んだ。
そう言って照史はお父さんとお母さんに頭を下げた。
涙で滲んだ言葉に、しげのお父さんもお母さんも、
僕らも、涙をあふれさせた。
これから先、僕らは7人でやっていく。
きっと、辛いことはいっぱいあるんやろう。
でも、僕らはひとりじゃない。
大切なメンバーがいる。
そばでいつだって応援してくれる、お父さんとお母さんがいる。
しげだけでなく、僕ら全員の、家族。
いつも、忘れないようにしよう。
7人ずっと、これからも、
手を離さないでいよう。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。