第72話

中間side
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2018/09/19 15:26
近くのコンビニで飲み物を買って、みんなで円になって休憩。



しばらくいろいろ話してたけど、

しげのお父さんの、「ちょっとええかな」って一言にしんと静かになった。



お父さん
これから大毅と一緒に生活してくれるってことで、・・・伝えておきたいことがあるんや。

お父さんは、どこか言いにくそうで、隣にいるお母さんは、両手を握って緊張した表情。





全員が身構えた。





お父さん
大毅は、みんな知ってるとおり、治らへん難病や。

今日みたいに検査で入院することも、体調を崩したり、病気が悪化して入院することもある。


発作を起こすことも何度もある。


ーそれから


そう言った後、お父さんは自分を落ち着かせるように一呼吸置いた。




お父さん
大毅は、余命を宣告されてる。




お父さんの言葉に、空気が重たく変わった。


お父さん
それで、・・大毅がいない今やから、話しておこうと思って。

これ、入院したりする時に必要な書類とか、手帳とか、発作の時の予備の薬。

ほんまに大切なんはこっちで持ってるし、大毅も薬の管理は自分でしてるから心配せんで大丈夫。


いろいろと取り出しながら話すお父さんを見ながら、カバンが大きかったのはこのせいなんやなって、納得する。



その後お父さんは、発作の時の対処方法とか、しげの病状を詳しく説明してくれた。



お父さんは、話し終えると僕ら全員を見た。




お父さん
・・大毅は、もう、・・・先が長くない。

隣の神ちゃんが、顔を上げたのが分かって、僕ら6人、同じ緊張感が走ったのも分かった。


お父さん
ほんまは、家でずっと一緒におりたい。大毅と一緒におってやりたい。


でも、これは大毅が望んだことや。



大毅を、よろしくな。



その時初めて、


きっと初めて、自分が、僕らが、どれだけ重いものを背負ってるのかを理解した。




お母さん
きっと、他の人じゃ絶対できひんよ。みんなやからできるねん。


大毅のこと、支えてくれて、

大毅と仲良くなってくれて、



ほんまにありがとうね。


涙ながらに言うお母さんに、僕の胸もぎゅっと痛くなった。


お父さん
あいつはいたずら好きでよぉ困らせるけど、

あれでもほんまにええ奴なんや。

僕の、

誇りの息子やねん。


ーやから、頼むな。



お母さんの手を握ってあげながらそう言うお父さんの目も、涙で潤んでいた。




痛いほどに、二人の気持ちが分かってしまうから、

どうしようもなく、涙があふれる。



桐山
僕らも、しげが自慢です。


ふとそんな声がして顔を上げると、照史が泣きながらも、微笑んだ。
桐山
しげは、僕らの自慢のメンバーやから。
そう言って照史はお父さんとお母さんに頭を下げた。
桐山
しげを産んでくれて、一生懸命育ててくれて・・・しげのことを任せてくれて、

本当に・・ありがとうございます・・・っ


涙で滲んだ言葉に、しげのお父さんもお母さんも、

僕らも、涙をあふれさせた。



これから先、僕らは7人でやっていく。


きっと、辛いことはいっぱいあるんやろう。



でも、僕らはひとりじゃない。



大切なメンバーがいる。


そばでいつだって応援してくれる、お父さんとお母さんがいる。

しげだけでなく、僕ら全員の、家族。



いつも、忘れないようにしよう。






7人ずっと、これからも、



手を離さないでいよう。

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