会議室に入ると3人のスーツを着た男性がいた。
若い人と、僕のお父さんぐらいの中年の人。
7人でお辞儀すると、中年の男性が「話っていうのは?」と聞いた。
真ん中にいたしげが、まっすぐにその人を見て口を開いた。
しげの言葉に、若い人は「はぁ?」と声を出した。
そう言っては「信じられない」と怪訝な顔。
若い男性がため息をついて静かになった部屋に、そんな声が響く。
7人でデビューしたいとしげが言っても動揺しなかったその人に、僕らの空気が変わる。
淳太君が言うと、若い男性は鼻で笑ってたけど、淳太君の言葉をまっすぐに聞いてた男性は「そうか」と頷いた。
ちょっと緊張したような声は濱ちゃん。
みんなの視線が濱ちゃんに向く。
うまくまとめられなくなって結局何が言いたいのか分からなくなって、唇を噛んで頭を掻く濱ちゃんの肩を照史君がポンッと叩いた。
神ちゃんが頭を下げる。
そう聞かれてしげは頷いた。
そう答えたしげに、その人は「分かった」と頷いて全員が顔を上げた。
そう言われて嬉しさで今にも出そうな声を押さえて、
ー「ありがとうございます!」
7人全員で頭を下げた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。