第20話

重岡side
1,031
2018/06/13 13:28
神ちゃんからメールが来た次の日、神ちゃんはレッスンに来てなかった。



今日は、レッスン場の僕らが絶対に足を踏み入れない部屋に事務所の人がいて、思い切ってドアをノックした。

チャンスだと思った。



7人でデビューしたいって、伝えなきゃ。


「」
なんだ?
部屋に入った瞬間、そう言ったその声に、ビクッと肩が揺れた。




ー「だって、もうすぐあいつ死ぬんだし」



あの時と同じ声。





重岡
あの・・・
急に怖くなって、さっきまですぐにでも言えそうだった言葉は言えなくなってしまう。
「」
なんだよ、なんか用か?
その人はコーヒー片手に不思議そうな顔。



普通に顔を合わせているけれど、陰であんな風に言ってた人。

まともに目が合わせられない。




僕はぎゅっと拳を握って恐怖を隠して、すうっと息を吸った。







重岡
あの・・デビューメンバーに、神山と藤井と濱田を入れてください。お願いします。3人が必要なんです。
思い切って言うと、しばらく沈黙が続いたけど、その沈黙も、フッという笑い声に壊された。



「」
何言ってんだ、お前
そう言われて顔を上げると、何がおかしいのかその人は笑ってる。



「」
お前もガキだなぁ。なんでそこまで7人にこだわるんだ。とにかく、そんな用なら帰ってもらえるか?
そう言って部屋から出ろと言うしぐさ。


重岡
・・でも!!3人は・・
「」
第一、俺に言ったってしょうがないだろ!もう決まったことだ。口出しするな。
はっきりそう言われて、その人は僕の背中を思いっきり押した。



ーガチャッ!!



部屋の外に出されて、乱暴に閉められたドアにうなだれる。






怖い笑顔と、言葉に、めげそうになった。



どうしようもなくなってレッスン場を出て歩きながら、スマホを開いたときに映った写真。





みんなが僕の家に泊まりに来た時に、7人全員で撮ったみんな笑顔の写真。




みんなの笑顔を見たら、安心して、頑張ろうって思えた。


濱ちゃん、

神ちゃん、

流星、



俺、頑張るから。


3人も、諦めたらあかんよ。

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