塀垣の上を自分のペースで進んでいく子猫の後をつけていく
何処行くんかな~
飼い主の所かな?
俺の予想じゃこの子猫の飼い主は女だな
青いリボンだし桜つけてるし
まぁ、年代は分からないけど
そしてしばらく塀垣の上を歩いていたと思ったら塀垣からピョンッと身軽に飛び降りて細い路地の中へ入っていった
この幅ならギリギリ通れるな
俺もその路地の中に入って子猫の後に着いていく
路地を出ると川沿いの広い道に出て左に曲がった
なんかワクワクするな♪
すると子猫が進む向こう側から白い猫が歩いてきた
にゃぁ
にゃーぁ
すれ違って白い猫は通りすぎていった
なんだ今のっ…凄くね!?
猫同士が挨拶してたみたいじゃん
猫の世界にもそんなのあるんだな!
さっきのは首輪してないから野良猫かな?
もしかしてこの子猫がこの辺のボス猫だったりして 笑
猫の後をつけるって意外と面白いのな
しばらく川沿いの道を歩くと、子猫はガードレールの下をくぐり、川の上をまたぐ細いパイプの上を進み川の向こう側へ
陽翔「え、いきなりそんなところ通るのかよ」
俺があのパイプの上通れるわけないし、見渡す限り近くに橋はない
早く追いかけないとあいつを見失っちゃうし、つまり…
陽翔「ここを下りるしかないのか」
この幅ならギリギリ飛び移れるな
ガードレールを乗り越え、軽い斜面を下り、飛び越えて反対側に到着
陽翔「ふぅ、まさかこんな所行くとは…
ちょっとした冒険みたいだな」
そしてまた子猫を追いかける
でもそこからが本当に冒険…いや試練だった
子猫は公園の植木の中を進み、公園の中を横切り、また植木の中をくぐって公園を出る
そして高さのある木に登り、そこから誰かん家の庭の中を悠々と進んでいく
さすがに不法侵入は出来ないから、走って先回りをして子猫の姿を探す
陽翔「何処いった?」
キョロキョロ見渡す
まさか住宅の中を進んでるんじゃないだろうな
その時、塀垣の僅かな穴から子猫は出てきた
陽翔「あ、いた」
そして子猫はどんどん住宅の少なくなる方に進んでいく
この辺もう来たことないな
てゆうか、猫の後をつけるって案外大変だな
俺も猫になりたいわ
そしたらここまで苦労する事ないのにな~
陽翔「げっ!ここ行くのかよ…」
猫が左に曲がって進んだ所は神社まで続く長い階段
ここに来て一番疲れそう…
飲み物持ってて良かったわ…
まぁ、ここまで来たしこうなったらとことん着いていく!
階段を軽快に登っていく子猫
まぁ、俺も体力には自信ある方だけど、猫って疲れないのかな
もしかして神社がゴール?
あんまりでかい神社って訳でも無さそうだし…人が居んのかな?
まぁ、居るとしたら巫女さんとか?
とか考えていたら子猫は階段の途中でふいっと左の林の中へ入っていった
陽翔「は!?ここで曲がんの!?」
子猫は俺の言葉に耳も傾けず、林の中を進んでいく
陽翔「まじか…」
しょうがなく俺も階段から外れ、林の中を進んでいく
陽翔「おーい、本当にこっちに何かあんの?」
先を行く子猫に声をかけるが子猫はただ進むだけ
まぁ、答えるわけないけど
でもこっちに何かあるように思えないんだけど…
しばらく木々に翻弄されながら進んでいくと、ひらけた中央に大きな木がそびえる丘の上に出た
そこからは広い町の景色が広がっていた
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。