体育館に響くボールの音
靴が擦れる音
熱い眼差しで声援を送る人達
天井に届くくらい高くボールが上がる
奏汰(かなた)「いけ!陽翔(はると)!」
陽翔「任せておけって♪」
託されたボールに食らい付き、足に全身の力を入れて高くジャンプ
そして落ちてきたボールを相手チームのコートに力一杯叩き落とした
バンッとボールは大きな音を出して跳ね、練習試合が終わったホイッスルが鳴り響いた
陽翔「いえーい♪俺達の勝ち♪」
俺、藤咲陽翔は毎日の放課後にこうやって色んな部活の助っ人をして楽しむのが日課
ちなみに今日はバレー部の助っ人
奏汰「陽翔!お前やっぱりバレー部入れよぉ!」
琥太郎(こたろう)「そうだよ
それだけ強いんだからチームに入ってもらえれば百人力だよ」
陽翔「大袈裟だって!お前等だって凄い強いじゃん
琥太郎だってさっきのあのボールを拾ったのなんか凄かったぜ?
それに何度も言ってんじゃん。俺は運動するのが好きなんだっての。どこか1つになんか決めらんないね」
琥太郎「スポーツをさせたら何でも万能!凄い才能だよね」
奏汰「確かに。でもただのスポーツ馬鹿だよ
スポーツは万能の癖して勉強に関しちゃ赤点の常習犯だからな」
陽翔「うるせっ。勉強出来なくても困んないんだよ」
奏汰「馬鹿が言う台詞だな」
琥太郎「勉強は必要だよ?
テストも迫ってるし、そんな事言ってられないよ?」
陽翔「わーっ、嫌なこと思い出させんなよ琥太郎!
てかそろそろ帰るわ!また助っ人してほしかったらいつでも呼んでくれよな!じゃぁな!」
奏汰「相変わらず帰るのも早いな。あのスポーツ馬鹿は」
靴を履き替えて外に出ると、もう夕陽に空が染まっていた
あーっ、楽しかった!
バレーは1週間ぶりだったな
最後のスマッシュなんかサイコーに気持ち良かった!
次はどこに混ぜさせて貰おっかな~
陽翔「あ、猫」
俺の数メートル前を横切る小さな猫を見つけた
ちっこいから子猫か?
この辺に猫なんて居るんだな
野良猫なのかな?
あ、でもよく見てみると首ん所に青いリボンがついてる
ってことはこの辺で飼われてんのかな?
青いリボンをつけた子猫はそのまま反対側の路地の中へ姿を消していった
俺は大して気にもとめず、家路を進んだ
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!