[りょう視点]
到着してすぐにあなたの肩に手を回した。
りょう「いじわる大魔神でーす。」
うわっ、って顔をした後に、
あなた「てつやくんがバラしたんだ?」
って言うから笑顔でそうだよって言っておいた。
としみつ「付き合ってないんでしょ?女の子に簡単に触れるのどうかと思うけど?」
ムッとした顔でとしみつがそう言った。
りょう「いいやん、付き合ってないけど俺あなたのこと好きだよ?笑」
あなた「またそうやって…。」
てつや「りょうー!こっち来てー!しばゆーが珍棒出しとるー!」
俺の宣戦布告がてつやの下品な声にかき消される。
としみつ「行こ、あなたは行かん方がいい。」
…としみつも触ってんじゃん。手。
ナチュラルにそういうことする方がずるいって分からないかな。
としみつに手を引かれてメイ達の居る方へひっぱられるあなたの後ろ姿を見るのは少しだけ悔しかった。
りょう「てつや、呼んだのわざとでしょ?」
てつや「空気悪くなるやん。同じチームなんだよ?君たち。」
りょう「だって俺結構本気で好きなんだけど。」
てつや「…としみつだって、もしかしたら俺も好きかもしれんやん。」
ゆめまる「ねぇ、袋持ってない……?」
青ざめた顔のゆめまるがタイミングよく来てくれた。これはてつやも宣戦布告してきたってことでいいのかな?
2人とも友達だけど、それとこれとは話が違う。
髪を下ろして少しだけくるんとした髪のあなたの横顔を思い出すと渡したくなくてイライラする。
りょう「ほら、袋あるよ。無理そうなら先生に言ってトイレで吐きな。」
しばゆー「あっ!嗚咽大臣がゲロ国王に進化してる!」
てつや「いやもうしばゆーは珍棒しまえ!女子引いてんじゃねぇか!」
しばゆー「今先生見てないから今しかないじゃん!」
トミー「なんでそこまでして珍棒とやらを出したいのか理解出来ないもんなぁ。天才なんだよなぁこの人。」
他愛もない会話をしてる最中もあなたの隣にはとしみつがいた。
列に戻って先生の話を聞いている最中も顔を見合わせて笑ったりしてる。
なぜだか、メイはとしみつには威嚇しない。
器用貧乏なんだよな、俺。
好きな子にいじわるなんて小学生かよって思うけど止められないんだよね。
困った顔が1番可愛いんだもん。仕方ない。
としみつ「今日、肝試しあるんだって。」
あなた「え!嫌だな。」
としみつ「苦手?」
あなた「得意ではないかな…。」
としみつ「じゃあ俺かメイと行こ。何人で行くのか分からんけど。」
あなた「うん!」
あーあ。ムカつくなぁ。
りょう「としみつ、俺も怖がりなんだけど?」
としみつ「そうなん?一緒に行く?」
え?
ポンコツなの?
あなた「りょうくん、怖がりなんだ。意外。」
メイ「意外とオネェみたいになるかもね。」
メイがそう言うと俺以外が笑いを堪えて肩を震わせた。
りょう「ねぇ!」
先生「おい福尾、話聞いてんのか?」
俺だけが注意されて後ろの方からてつやとトミーとしばゆーの笑い声が聞こえた。
カンタ「りょうくん、ドンマイ!」
先生「佐藤、お前も話聞けよ。」
カンタ「ごめんなさい!」
こうして俺らの宿泊研修はスタートした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!