[虫眼鏡視点]
彼女と別れてからもう数ヶ月が経とうとしてる。
元気のない僕を見かねたのか、
友達のはじめくんとスマブラをしていると急にこんなことを言い出した。
はじめ「虫くんに懐いてた後輩の子と俺の仲良いやつが同じ学校なんだよね。名前なんだっけ?」
虫眼鏡「虫くんって呼び方いい加減やめてよ。笑
その子はあなたって名前。」
はじめ「小さくてメガネだもん。虫眼鏡じゃん!あ、やっぱり?トミーが言ってた通りだ!」
虫眼鏡「トミー?」
はじめ「そう、めちゃくちゃ面白いから今度一緒に遊ぼ。」
虫眼鏡「えー、僕そんな知らない人と遊べないなぁ。」
なんて言って話した数分後にはLINEをゲットして僕に送ってきた。
心遣いは嬉しかったけど今更何を話せばいいのか。
悩んでるうちに眠りについてしまった。
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はじめ「おはよー!虫くん!」
虫眼鏡「おはよー。」
はじめ「LINEしてみた?」
虫眼鏡「なんてLINEすればいいか分かんなくてしてない。」
はじめ「もー!そんなんじゃ新たな恋、できないぞ♡」
虫眼鏡「はいはい、元気つけようとしてくれてありがとね。」
はじめ「心配してるんだからな!恋とまではいかなくても女の子と話すくらいしたら気も晴れるって!」
虫眼鏡「うーん、そういうもんかなぁ。」
[LINE]
[たいき:久しぶり?分かる?]
それだけ送ってスマホの電源を切った。
学校だからね。はじめくんはモンストしてたけど。
昼休みになって見てみると
[あなた:覚えてる、たいきくん!]
と返ってきてた。
アイコンは大勢で撮った写真。どこか垢抜けて周りのやつも陽気そうなやつばっかり。隣の女の子は確か小学生の頃から一緒の子?
あなた、いつももじもじしてるイメージだったのに変わったな。
メガネもやめたのかな。
それにしても妙に近いな。男たちが。
[たいき:高校生活エンジョイしてそうなアイコンだね_:(´ཀ`」 ∠):]
[あなた:うん!良かった、お友達できて。不安だったから安心してる。]
なんとなく距離ができてしまった気がして返信はしなかった。
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[虫眼鏡バイト先]
虫眼鏡「はぁ…。」
先輩「どうしたの?」
虫眼鏡「いや、なんか前まで懐いてくれてた子が遠くに行ってしまった気がして。」
先輩「遠くの高校行ったってこと?」
虫眼鏡「いや、めちゃくちゃ近いんですけどね、なんか…。キラキラしてて、友達たくさん出来てて、可愛くなったなぁって。」
先輩「なんだ。女の子なんてみんなそんなもんだよ。笑」
虫眼鏡「そういうもんですかねぇ…。」
懐いてた子犬に貰い手が付いたとかっていう寂しさじゃなくて、言い方は悪いけど…使わなくなったおもちゃを誰かが勝手に使っててムカつく。みたいな感覚だと思う。
なんか、嫌だなぁ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。