第27話

後悔 ~SixTONES~
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2022/03/26 12:00





田中 side

















「初めまして。水瀬 あなたです。仲良くするつもりはありませんが、短い間宜しくお願い致します。」














初めて話したのはあなたのSixTONES加入が世間に発表され、挨拶に来た時。




俺らさえも加入したのは世間と同じタイミングだった。




……………今思えばあなたもそうだったのかもしれない。




でも当時はそんなことに気づくどころか、嫌っていた。




だって俺らは事務所に作られたイメージを丸ごと信じていたから。




きっとそれは今のこの世の中だってそうだ。




………………………だから俺は、あんなことができた。




加入発表後、俺だけが事務所の偉い人に呼ばれた。




そして「監視をして欲しい」、そう言われた。




紅一点だし〜、いろいろあったし〜、何か変なことされても困るし〜、




とかなんとか言っていた気もするけど覚えていない。




だって興味がなかったから。




ちゃんとしてくれないとデビューはない、そう言われた。




ほぼ脅しだった。




この言葉だけが頭を駆け巡っていた。




…………………一度デビューを逃した以上、これが最後のチャンスだとみんな分かってた。




だから俺はこれを拒否するわけにはいかなかった。




SixTONESを守るために。




もちろん、事務所もわかってて利用したんだと思う。




そうして俺は、メンバーにこのことをなんとなく言わずに監視を続けた。




できるだけあなたの行動を動画に収め、




今どこにいるかを逐一報告し、自分の役割を果たした。




それからよくあなたに関する報道が出るようになった。




でも興味はなかったし、見たことがなかった。




なんとなく、今までのこともあり、予想できてたし。




それから一ヶ月ほど経った日、きょもがあなた抜きのメンバーで集まりたい、そう言ってきた。




なにやら深刻そうだったし、事務所の別室を借りて話すことになった。










































京本 「……………水瀬、さんの報道みんな見てる?」




『見てないけど、』




ジェシー 「最近は見てないなー」




森本 「俺は一応見てるよ。メンバーだし。」




松村 「俺はたまーにかな、」




髙地 「俺もたまに見てるかも、」




『それがどうかした?』




京本 「………………おかしいんだよね、」




「「………………え?」」




京本 「これとか、…………俺らこの時間、一緒に仕事してたよね、?」




森本 「その辺は曖昧なんじゃないの?笑」




京本 「初めはそう思ったよ。………でも日時と服装が一致してる。」




髙地 「きょもの勘違いじゃ、笑」




京本 「ううん。気になって服の写真撮ったり、後付けたりしたから間違いないと思う。」




ジェシー 「え!?」




京本 「そもそもずっと気になってたんだ。
………Love-tuneは水瀬さんを受け入れてたから。」




森本 「それは思ってたよ。………でもLove-tuneを裏切ったのは水瀬さんだ、」




京本 「……………俺には裏切ったとは思えない、」




松村 「………今、その真相は聞きたくても聞けないよ、」




「「………………………」」




『まあ別によくね?今更そんなこと知ったって変わんねーだろ、笑』




京本 「わかんないじゃん。それはまだ。」




『…………………なに、知ってんの、』




京本 「……………樹、隠してることあるよね、?」




森本 「え?どういうこと?」




京本 「樹のしてることがSixTONESのためなのは何となくわかってる。けどそれで、!」




『………………………報道、見せてくんない?』




「「…………………………」」




松村 「………………樹、」




『あー、やっぱりこれ、俺が撮った写真だわ、笑』




京本 「違うでしょ、」




『いやそうだよ。……………加工されてるけど、』

























































気づいた時には遅かった。遅すぎた。




もう取り返しのつかないところまできていた。




あの時、震えていた手を無視しなかったら、




あの時、外から聞こえた怒り声に耳を傾けていたら、




あの時、嘘 を見破れていたら、、、









これが俺のいちばんの 後悔 。









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