センラside
悲鳴をあげながらなんとか村の中心へ歩を進める。
さすが村の中心…広いな…
池のそばに人だかりができてる。
そばによってみると、その異様な臭いの正体がわかってきた。
これは…死体の臭いや。
無惨に食い散らかされていたのは、なんと3日前会ったばかりの村長だった。
これで…2人目の被害者…
と…後ろの方が騒ぎ出した。
こちらに気づいたうらたが駆け寄ってきた。
さっきからまーしぃまーしぃって一体誰のことだ…?
透き通った声が響いた。
振り返って目に入ってきた人物に息を飲んだ
志麻が村人たちに問う。
志麻が村長の死体に向かって歩き出した。
見せては行けない、と皆わかっているに、志麻が通りやすいように村人たちは道を開けてしまう。
聞く耳を持たず、どんどん奥に進んでいく。
村長に近づくにつれ、志麻の顔が険しくなっていく。
フラフラとした足取りの志麻。
最後のひとりが志麻を避ける寸前…
グイッ!
俺は志麻を抱き寄せた。
絶対に見せては行けない、そう思ったから。
志麻が小刻みに震える。
志麻が俺の体からそっと顔を覗かせて村長の死体を見る。
志麻が村長に向かって駆け出そうとした。
泣きじゃくりながら村長へ手を伸ばす志麻を必死におさえる。
カクン
父親の死がショックすぎたのだろう、志麻は俺の腕て気絶した。
俺は志麻を抱きかかえ(お姫様抱っこ的な)、志麻の家に入っていった。
入る瞬間、視線の端に坂田の悲しそうな顔を見た気がした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!