クラスの子達は、友達と喧嘩したときとか休みの時とかそんなときにばかり私のところへ来る。
そして友達が来たらまた去っていく。
個人的にはそういうの面倒だと思うからその場しのぎに私を使うのをやめてほしい。
昼休み、私は4階端の階段に座っていた。
誰も来ない、無心になれる場所。
自分が何のためにここにいるのか分からなくて。
友達がいない私にとって学校なんてただの勉強する場でしかない。
少し気になって教室の方を除けばこれ
するとじみなはクラスの子の肩に手を置いて、耳元で何かを話した。
足音が、私の方に向かってくるから急いでまた階段の方へ戻る。
こういう時だけ勘が鋭いんだよな、じみなは。
ほら、行って?って言うから気持ちが次々口から溢れる。
放っておいて、
でも気にかけてほしい。
話しかけないで、
聞いてくれたら嬉しいな。
なんで私にだけ優しいの、
私は特別だって勘違いしちゃうし
好きになっちゃったじゃん。
そうやって頰をその柔らかい両手で挟んでくるから涙が次々と流れてくる。
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あぁ、泣いちゃった。
こうやって溢れてくる綺麗な涙さえも愛おしくて本当に離したくないし他の人に見せたくない。
涙を拭ってあげれば少し無理したように笑うから僕まで苦しくなる。
それでも、本当に全部が可愛い。
その少し絶望したような顔も。
その泣きそうな顔も。
焦って僕から離れようと立ち上がるから、白くて細い手首を優しく掴んで壁の方へ引っ張る。
僕の方が力は強いから勢いであなたが壁と僕の間に座り込む。
その驚いた顔も。
ありえないっていう顔も。
澄んだ綺麗な瞳。
でも少し残った涙が星屑みたいに輝いていて。
こんなに優しい顔をして僕の目を見るのはあなたしかいないよ。
どんな子よりも、目立たなくてもあなたが1番可愛いのに。
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そう言って私の頰にまた触れるじみな。
次の瞬間、唇に唇が触れる。
そっと、お互いを確かめるような優しい感じ。
ふと匂った甘い香りが私の身体を包み込んだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!