"死んだ"。
たった3文字の言葉が俺の喉を締め付ける。
話し続けなければ涙が零れて来そうで、俺は息継ぎも忘れて話し続ける。
震える声で、放たれた陽葵の言葉に、俺は頭を殴られた感じがした。
そうか。
俺は嘘をついていたのか。
他人事のように考えてしまう自分が憎い。
何より、霖と会ったことも話したこともない陽葵が霖のことをよく分かっているのが腹立たしかった。
八つ当たりだって分かっている。
霖が戻ってこないことも、陽葵が悪くないことも、
戸惑ったような陽葵の声を背中で受けて、俺は病室を出る。
自分の醜い感情で、陽葵を汚さないように。
そのまま病院を出て、すぐ近くのベンチに座る。
俺が死ねばよかったのに。
俺1人、たかが俺1人だ。
たかが俺1人の為に霖が死んだ。
なんの価値もない俺のせいで。
聞き手のいない俺の独り言は、霖のいるはずの青空へ消えていった。
今回、ほぼ吹き出し&長文で読みにくかったら申し訳ないです!
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。