シベツヲゼンテイ?
コウサイシナイ?
陽葵の言葉を理解するのに数十秒かかった。
いやいやいや
何を考えているのか分からずに、彼女に問いかける。
わざわざ言葉変えなくても理解してるわ、馬鹿。
俺が言いたいのはそういうことじゃなくて
予想外だったのか、陽葵ぱちりと目を瞬かせる。
きょとんとした顔は、無防備で、一瞬見惚れかける。
一瞬、だけど。
鬼気迫る表情に圧倒された俺は、気がついた時には、つい頷いてしまっていた。
全く訳わかんないけど、陽葵が嬉しそうならそれでいいか。
俺はもうどうにでもなれと言う気持ちになっていた。
それから2人で話し合って決めた、陽葵曰く「交際する上での約束事」がこれだ。
1:二人の間に恋愛感情は生まないこと
2:陽葵が死ぬまでは俺は彼女を作らないこと
3:いつかは死別する事をよく理解すること
陽葵はおどけた表情でそう言った。
だから俺もおどけて返す。
その瞬間から、俺達の別れる日までのカウントダウン──────つまり、陽葵の死へのカウントダウンが始まった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。