今の私にできることってないと思う
私はこういう雰囲気になると
すぐ思ったことを口走ってしまう
そのせいでその人が傷つく
なら何も話さずに逃げた方がマシだ
そう考えるようになった
逃げ道をいつも探してはまた違う所へと向かう
いつもいつもこれだ
そんな自分に腹が立つ時がある
そうドアに向かって話した
後ろからは全員の視線が向けられる
見なくても強く感じたのだ
それも、悲しい視線で
そうジミンさんに頭を下げて楽屋を出た
その時、テヒョンさんがヌナと大きい声で言いながら呼び止めようとしたが
私をそれを遮るように扉を閉めた
事務所を出て事務所の階段に蹲っていると
ポツポツと雨が降り出した
その雨は次第に強くなっていく
そして、セットした髪の毛もメイクも
全て崩れ落ちた
そう言いながら私は涙を流した
本当はまだジミンさんに対する気持ちが残っている
いつもいつも強がってしまう
本当は好きなのに
大好きなのに
どうして自分の気持ちを隠してしまうのかな
自分の胸に手を当ててみても
答えが見つからない
それに腹が立って私は何度も胸を叩いた
すると、叩いていた私の手が止まった
こんな時までこんな冗談を言うジョングクさん
きっと励ましているつもりなんだろう
だけど、今の私に励ましなどいらない
きっと甘えてしまう自分がいるから
もう甘えるなんてことはしない
立派な大人になるんだ
雨はさっきよりも勢いを増して私に当たり続ける
まるで
痛めつけているかのように
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。