案内されたのは3階の隅っこの部屋。
隅っこと言っても1人で使うにしては広すぎる部屋だし、ダブルベッドなんて…大きなタンスや鏡、バルコニーまでついている。
本当にすごい……すごいけど……
住むだなんて、無理だよ!!!
一時的に作った道とか、おばあちゃんたちを化かしたとか。この人達はなんなのだろう。
普通じゃない。絶対におかしい。
ソンウさんは酷いなーなんて言いながら、私の前に手を出してきた。
私も手を出し、手を握って握手をした。
するとソンウは嬉しそうに握り返した。
そう言ってソンウは部屋を出ていった。
…不思議な人だ。
ってあれ、結局何者なのか誤魔化された!!
とりあえず部屋の中を探索してみよう。
タンスを開けると、中にはいろんな洋服が入っていた。全部私の好みだ…。
でも全部高そう。下の棚には靴も入っている。
どうしてこんな……。
鏡の前には化粧品や髪飾りなど…
ダブルベッドには天蓋まで着いていてどこのお嬢様なの…。
突然後ろから声が聞こえてまたびっくりする。
振り向くと窓際に男の人が座っていた。
なんでこの部屋に…入ってきたのに気づかなかったの?
そう言って彼は笑った。
その笑顔は子供のように無邪気で自然と心が和む。
すると、コンコンっと扉をたたく音が聞こえて、扉が開いた。
スタスタと部屋に入ってきて、その子はダニエルのよこにならぶ。
あ、たしかこの子…さっきいた子だよね。
気づくとまた人が増えていた。
また…いつ入ってきたの?
なにか気に食わない顔で私を見つめるジフンくん。
そういえば、この家には何人いるんだろう…さっき見ただけでも10人以上いたよね。
このよくわからない状態でよくわからない人達に囲まれて…私はどうしたらいいのか分からない。ただ、とりあえず彼らの言うことを聞いてここにいた方がいいのかな…。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!