私はふと目を覚ました。
あれ、いつの間にか寝てたんだ。
少し考え事をしながらベッドに横になってたらいつの間にか寝てたみたいで、時計を見ると午後6時ごろ。ちょっと寝過ぎちゃった…。
私はベッドから起き上がって、開ききらない目を擦りながら大きなあくびをした。
私はその声に思わず飛び跳ねる。
と、目の前にはジェファンがいた。何食わぬ顔で私の部屋のソファに座っていた。
いることも知らずに目を擦りながらすごい大きなあくびをしてたし。それを見られてたし。
恥ずかしくてもう爆発しそう。塵になりたい。
小馬鹿にしたようにニヤニヤ笑うジェファンに、思わず手が出そうになるけどやめておこう。勝ち目なんてない。
ジェファンの顔がだんだん苦笑いになっていく。
あ、これ作れないやつだ
……と、結局食堂までその言い合いをしてて、私が作ろうとしたらジェファンはすごく邪魔してくるし頑なに僕が作るって言ってくるから私は諦めて見守ることにした。
ジェファンは家にあった本で作り方を見ながらまずなにから始めようか悩んでる。
そんな困ってるジェファンを今どき携帯使わないんだなーとか、上手くできるのかなぁなんて思いながら眺める。
やっと行動し始めたと思ったらあたふた。落ち着いたと思ったらまたあたふた。
大丈夫かなこれ、なんて心配せざるを得ない。
いろいろ順番違うし、測り方とか間違えてるし切り方も危うい
そう尋ねると、ジェファンはこっちを向いて苦笑い。
……だめだこりゃ。
私はジェファンから包丁を取ろうとすると、ジェファンはだめ!と渡そうとしない。
やっとのことでジェファンの手を掴んだ。そのまま私はジェファンの前に立って、後ろから伸びるジェファンの手を掴んで説明した。
私がジェファンを操るように手を掴んだまま野菜を切る。すると、なぜかジェファンの手は小刻みに震えててすごく切りにくくなる。
笑いながらジェファンの方をむくと、ジェファンの顔は真っ赤。
え、なんで?
ジェファンは咄嗟に片方の手で自分の顔を隠した。
しばらく顔を隠したまま動かない。
さっき暴れた時に包丁で顔に傷でもできちゃったのかな。本当に心配になってきて、私はジェファンの手を無理やりどけようとした。
それでも頑なに見せようとしない。
また顔から手を剥がそうとした時、急に手を掴まれてそのまま押されて壁に縫い付けられる。
力強く握られて振り切れないし、壁に押さえつけられてて逃げられない。
と、ジェファンの顔を見るとやっぱり赤いままで。
その真っ赤な顔を私の肩に埋めて、ジェファンは私の手を離した。
そう言ってそっと抱きしめる私をジェファン。密着して、ジェファンの心臓の音が聞こえてくる。
今にもはち切れてしまいそうなほど心臓がドキドキしていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。