第26話

不器用な恋心
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2018/04/12 15:49
私はふと目を覚ました。

あれ、いつの間にか寝てたんだ。
少し考え事をしながらベッドに横になってたらいつの間にか寝てたみたいで、時計を見ると午後6時ごろ。ちょっと寝過ぎちゃった…。
私はベッドから起き上がって、開ききらない目を擦りながら大きなあくびをした。
ジェファン
おっきいあくび
○○
?!
私はその声に思わず飛び跳ねる。
と、目の前にはジェファンがいた。何食わぬ顔で私の部屋のソファに座っていた。
○○
ジェファン!いつからそこに!
ジェファン
あなたちゃんが起きるちょっと前?
○○
いるなら言ってよ…
いることも知らずに目を擦りながらすごい大きなあくびをしてたし。それを見られてたし。
恥ずかしくてもう爆発しそう。塵になりたい。
ジェファン
随分とよく眠れたみたいだね?
小馬鹿にしたようにニヤニヤ笑うジェファンに、思わず手が出そうになるけどやめておこう。勝ち目なんてない。
○○
うるさいなぁ…
ジェファン
…お腹すいてる?
○○
あ。空いてる
ジェファン
だと思った。なら、一緒にどう?
○○
あれ、夜ご飯はみんなで食べないの?
ジェファン
あー、みんな夜は狩りに行くから。
○○
あ、そっか…
ならジェファンもじゃないの?
ジェファン
えっと、今日はちょっとね
○○
でも…大丈夫なの?
ジェファン
うん。みんなより少し早く済ませてきたから。それにあなたちゃん1人でご飯って寂しいでしょ?
○○
平気なのに。
ジェファン
やー、そこはありがとうでいいんだよー
○○
あ。ありがとう、
ジェファン
それでよし! じゃあ何食べたい?
○○
んー、ハンバーグ?
ジェファン
お、いいねハンバーグ
○○
ジェファン作れるの?
ジェファン
………え
○○
え、
ジェファンの顔がだんだん苦笑いになっていく。
あ、これ作れないやつだ
○○
…私が作るよ
ジェファン
いい!僕がやる!大丈夫!
○○
だって作れないって顔してた!
ジェファン
そんな顔してない!!
○○
いいって!大丈夫だから!
ジェファン
あなたちゃんこそいいから!ぼくできるから!







……と、結局食堂までその言い合いをしてて、私が作ろうとしたらジェファンはすごく邪魔してくるし頑なに僕が作るって言ってくるから私は諦めて見守ることにした。
ジェファン
えーーっと、まずどうするんだ…?
ジェファンは家にあった本で作り方を見ながらまずなにから始めようか悩んでる。
そんな困ってるジェファンを今どき携帯使わないんだなーとか、上手くできるのかなぁなんて思いながら眺める。
やっと行動し始めたと思ったらあたふた。落ち着いたと思ったらまたあたふた。
大丈夫かなこれ、なんて心配せざるを得ない。

いろいろ順番違うし、測り方とか間違えてるし切り方も危うい
○○
…ジェファン、本当に大丈夫なの?
そう尋ねると、ジェファンはこっちを向いて苦笑い。


……だめだこりゃ。
○○
貸して、
私はジェファンから包丁を取ろうとすると、ジェファンはだめ!と渡そうとしない。
ジェファン
あなたちゃんは座ってて!
○○
ジェファン危なっかしいもん!無理だよ!
ジェファン
だ、大丈夫だから!
○○
いいから!ほら!
やっとのことでジェファンの手を掴んだ。そのまま私はジェファンの前に立って、後ろから伸びるジェファンの手を掴んで説明した。
○○
ジェファンの持ち方は危ないんだよ。力も入りにくくて切りにくいし下手したら指切っちゃうし。
私がジェファンを操るように手を掴んだまま野菜を切る。すると、なぜかジェファンの手は小刻みに震えててすごく切りにくくなる。
ジェファン
は、はぁ…
○○
ちょ、ジェファン。震えないでよ
笑いながらジェファンの方をむくと、ジェファンの顔は真っ赤。
え、なんで?
○○
え、ジェファンどうしたの!熱?
ジェファン
いや、違うから…大丈夫…
○○
でも顔真っ赤だよ?
ジェファン
これは、その…
ジェファンは咄嗟に片方の手で自分の顔を隠した。
○○
…何。どうしたの、
ジェファン
ちょっと待って
しばらく顔を隠したまま動かない。
さっき暴れた時に包丁で顔に傷でもできちゃったのかな。本当に心配になってきて、私はジェファンの手を無理やりどけようとした。
それでも頑なに見せようとしない。
○○
ねぇ、大丈夫?顔見せてよ
ジェファン
だめ、今はダメ
○○
今はって…後で見せて怪我が悪化してたらどうするの?
ジェファン
…怪我じゃない
○○
じゃあ見せてよー
また顔から手を剥がそうとした時、急に手を掴まれてそのまま押されて壁に縫い付けられる。

力強く握られて振り切れないし、壁に押さえつけられてて逃げられない。
と、ジェファンの顔を見るとやっぱり赤いままで。
○○
ジェファン、どうしたの…
ジェファン
……怪我なんてしてない。どこも痛くない
ジェファン
でも、なんかすごく心臓がドキドキするし…あなたちゃんが僕の手触るから。さらに苦しくなる
○○
……どういう…
ジェファン
僕にもわからないよ。こんなの、初めてだから…。
その真っ赤な顔を私の肩に埋めて、ジェファンは私の手を離した。
ジェファン
僕のこと見て欲しいから…あなたちゃんの前でカッコつけようとしても全然うまくいかないよ
そう言ってそっと抱きしめる私をジェファン。密着して、ジェファンの心臓の音が聞こえてくる。

今にもはち切れてしまいそうなほど心臓がドキドキしていた。
○○
ジェファン…
ジェファン
ごめんね、かっこ悪いけど。もう少し……

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