第27話

不器用な恋心2
1,073
2018/04/12 16:10
しばらくジェファンは私を抱きしめたまま動かなかった。ただ、ジェファンの心臓の鼓動が伝わってきて、熱も伝わってきて。わたしまでドキドキしてくる。
ジェファン
……渡したくないよ…
ジェファンはまた私を強くぎゅっと抱きしめる。少し苦しいほど、彼は私を縛り付けるように抱きしめた。
○○
ジェファン、苦しいよ…
私がそう言うと、ぱっと離してジェファンは後ろを向いた。
ジェファン
ご、ごめん…僕何やってんだろう。
……部屋に戻るね
ジェファンは勝手に急いで戻ろうとするから、私は咄嗟にジェファンの洋服の裾を掴んで引き止めた。
○○
なんで戻ろうとするの
ジェファン
だって、僕嫌なことしちゃったし
○○
嫌じゃない、から。大丈夫だから…
ジェファン
あなたちゃん……それ、
○○
…だから、一緒に作って食べよ?
1人じゃさみしいじゃん。
ジェファン
………そうだよね。
ごめんね、勝手に変なことばっかり
またキッチンに立つと、私とジェファンは手分けして料理を始めた。少し気まずい空気だったけど、またふざけたり話したりしてるうちにそんな空気はなくなって、楽しく作ってた。
ジェファンに教えながら作っていくのはすごく楽しくて。ジェファンも楽しそうにしてくれてたから私も嬉しくて本当に良かった。
ジェファン
できた!
○○
ジェファン、なかなか上手じゃん?
ジェファン
でしょ!だから僕料理出来るって言ったでしょ?
○○
私が教えたんだから当たり前でしょー
ジェファン
え、なんか急に偉そうになってる
なんてまたふざけながら料理を机まで運んで、一緒に食べる。
期待通り美味しくて、心もお腹も満たされた。
ジェファンも満足そうにしているから、思わず笑ってしまう。
ジェファン
え、なんで笑ったの
○○
いや、ジェファンが面白くて
ジェファン
何もしてないじゃん!
○○
ごめんって
私の笑いにつられてジェファンも笑う。
そのサイコパスみたいない方にまたつられて笑ってしまって、2人で謎に笑い合う。
ジェファン
…もう、あなたちゃん笑いすぎだから!
○○
それはジェファンもでしょ
なんて言いながら片付けようとして立ち上がると、ジェファンも立ち上がって私の頬にそっと触れる。
○○
…どうしたの?
ジェファン
…あなたちゃんといると、すごく楽しい
○○
そう?なんか照れるなぁ
ジェファン
僕ね、ちゃんとわかった気がするんだ。自分の気持ち
○○
なにそれ?どんな?
ジェファン
………それは教えない
○○
え、なにそれ!
ジェファンはそのまま私のお皿と自分のお皿を手にすると、キッチンへ下げる。
私の話なんて全く聞いてくれやしない…自分から言い出しておいて教えないって酷くない?
そんな文句も言えずにただただ見つめた。
ジェファン
そろそろみんな戻ってくるから。
広間行こう!
○○
え、行こうってなんで??
ジェファン
みんなで集まる時間だから。せっかくあなたちゃんもいるし。ね?行こう!

プリ小説オーディオドラマ