しばらくジェファンは私を抱きしめたまま動かなかった。ただ、ジェファンの心臓の鼓動が伝わってきて、熱も伝わってきて。わたしまでドキドキしてくる。
ジェファンはまた私を強くぎゅっと抱きしめる。少し苦しいほど、彼は私を縛り付けるように抱きしめた。
私がそう言うと、ぱっと離してジェファンは後ろを向いた。
ジェファンは勝手に急いで戻ろうとするから、私は咄嗟にジェファンの洋服の裾を掴んで引き止めた。
またキッチンに立つと、私とジェファンは手分けして料理を始めた。少し気まずい空気だったけど、またふざけたり話したりしてるうちにそんな空気はなくなって、楽しく作ってた。
ジェファンに教えながら作っていくのはすごく楽しくて。ジェファンも楽しそうにしてくれてたから私も嬉しくて本当に良かった。
なんてまたふざけながら料理を机まで運んで、一緒に食べる。
期待通り美味しくて、心もお腹も満たされた。
ジェファンも満足そうにしているから、思わず笑ってしまう。
私の笑いにつられてジェファンも笑う。
そのサイコパスみたいない方にまたつられて笑ってしまって、2人で謎に笑い合う。
なんて言いながら片付けようとして立ち上がると、ジェファンも立ち上がって私の頬にそっと触れる。
ジェファンはそのまま私のお皿と自分のお皿を手にすると、キッチンへ下げる。
私の話なんて全く聞いてくれやしない…自分から言い出しておいて教えないって酷くない?
そんな文句も言えずにただただ見つめた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。