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午後3時半、校庭。
よく晴れた、少し風のある日に、初めての飛行訓練の授業はあった。
20本の箒が並べてあり、スリザリンの1年生が少しこちらをちらちら見ながら並んでいる。
マダム・フーチが来た。
白髪を短く切り、鷹のような黄色い目をしている。
やばい、沙来の思ってることが分かりすぎる。
なんとか沙来から意識をマダム・フーチの話に持っていく。
自分の箒を見下ろすと、古ぼけて、こえだが何本かとんでもない方向に飛び出ている。
おお、凄い。
すぐさま箒は手の中に飛び上がった。
沈んだ顔をしてる莉犬君を放って、周りを見る。
ほとんどの人の箒がまだ地面にいる。
ようやくみんなの箒が手に収まったところで、飛び方を教えてもらった。
笛の音が鳴る。
禁じられた森が見える。
まふの箒が暴走している。
いや、あれはまふが箒を暴走させているのか・・・?
ほうきに乗ったまま、体を前かがみにしてまふの方へと向かう。
隣には沙来がいる。
校医のマダム・ポンプリーに怪我は任せるからその心配はない。
と、まふが箒から落ちた。
下の方で悲鳴が上がる。
涙目で落ちていくのが見える。
急降下する。
耳元で風が鳴り、まふと地面の差がどんどん縮まっていく。
何とか沙来がまふの腕を捕まえた。
私も胴体を引きずりあげる。
おぉっと。
退学の危機ですか、これ?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!