翌日、女子寮を出ると、元気な声がした。
坂「あなた、おはようっ!」
「朝から元気だね、おはよう、坂兄」
(あなたちゃんは特定の人に対しては対応が塩じゃないです)
沙来はまだ起きておらず、2人で肖像画の穴を出て、大広間へ向かう。
ホグワーツには一四二もの階段があり、広く壮大なもの、狭いガタガタ、真ん中あたりで毎回一段消えてしまう階段。
肖像画の人物も訪問し合い、ゴーストが触れるとヒヤリとする。
ポルターガイストのピーブズに出くわすと、それこそ厄介で、それよりも厄介なのが、管理人のアーガス・フィルチだった。
大広間に着くと、まだ一年生はほとんど来ていない。三、四年生がほとんどだ。迷って大広間に来れないのかもしれない。
「坂兄、一年生居ないね」
坂「へつにひひしはいへひーよ、はへよ。」
(別に気にしないでいーよ、食べよ)
沙「汚い。口にものを入れて喋るな。あなた、おはよう」
「あ、おはよう、沙来。珍しく早いね」
坂「沙来、凄いな。どうやってたどり着いたんや?」
やはり、一年生は迷うらしく、坂兄は驚いている。
沙「勘」
「さすが沙来だわ。」
喋りながらトーストを何枚か取り、大きなナプキンに包んだ。鞄にそれを入れたところで、嫌な予感がする。
そ「あなた〜おはよう。まふ知らない?」
な「あなたちゃん、おはよう。で、るぅとくん知らない?」
さ「あなた、おはよ。でさ、ジェルしらね?」
嫌な予感的中。
「知るかそんな奴。っていうか同じ寮でしょ、しかもジェル兄に関しては四年生だよね」
一蹴して、かぼちゃジュースをゴブレットに注ぐ。
トーストにマーマレードを塗り、食べようとしたが、グリフィンドール生に睨まれているそらるさんに掠め取られ、しぶしぶまた新しいトーストをとった。
(グリフィンドール生とスリザリン生は基本仲が悪いです)
沙「そろそろ行こうか、あなた。最初の授業は?」
「妖精の魔法」
沙「りょ。あ、みんなだ」
「おはよう、莉犬くん、るぅとくん、あと、まふ。」
り「どうしよ〜あなた、寝坊したぁ〜(´TωT`)」
ま「どうしよ〜どうしよ〜っ!」
る「僕は食べました。宮さんに頂いたんですよ。」
「るぅとくん、宮姉にもらったんだ。ねぇ、ころ兄は?」
り「まだ寝てるよ」
「そう、別に良いよ、寝かせときなよ。」
こ「よくないよっ!今起きたって!」
「ころ兄遅い」
沙「なんの茶番してるのあんたら。」
り「朝ごはんどうしよ」
ごそごそっと私は鞄の中に手を入れ、ナプキンに包んだトーストを渡した。
ま「え?食べていいの?」
「分けなよ」
安堵しているみんなを置いて、私らはさっさと妖精の魔法の教室へ向かった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。