とか思ってた私が馬鹿だったと、後々になって思うとはまだ知らない。
母「あなた、いらっしゃーい」
のーてんきな母の声がする。
この後言われることは分かっている。
母「あのね、分かっているとは思うけど、あなた、ホグワーツ魔法魔術学校に入学出来るわよ〜。良かったわぁ。」
「・・・分かった、ありがとう。いつ、行くの?」
そう。
うちの兄と姉は、魔法族。つまり、魔法の使える人達。
小さい頃から、同じ力があるのは分かっていた。
家の2階から落ちても怪我をしなかったり、花を咲かせたり、小枝を回せば火花が散ったり。髪を切ってもまたすぐに伸びたり、嫌いな物が無くなったり。
そんなことが続いた。
お姉ちゃんもお兄ちゃんも優秀な魔法使いで、私もそうだろうって言われている。
そういえば、私の友達も、同じ力を持っていたっけ。
そう思ったが、すぐに母の声に呼び戻される。
母「うーん、そうねぇ、宮お姉ちゃんには悪いけど、3日後には立とうかしら?あぁそうだ。」
ん?なんだろう。
母「お向かいの赤城さんとこの息子さんと、お隣の黄木さんとこの息子さんもホグワーツに入るらしいわよ。あぁ、柴森 七くん覚えてる?知早お兄ちゃんのお友達の。橙田ジェルくんと、桃野里実くん。あの子達も、ホグワーツの学生らしいわぁ。良かったわね、お友達沢山いて。」
のーてんきにも程がある。誰があの人らと。つーかお父さんはどうしたお父さん反対するでしょうが。
父「あなた、行くのか。俺は反対だぞ・・・」
宮「お父さん、あそこはとってもいいところだから、あなたも行かせてあげて。ね、お父さん。」
父「そうだなぁ〜宮が言うならなぁ〜よーしあなた、行ってこい!」
こんの親バカが。
夜、私は宮ねぇを問い詰めた。その美貌を使ってお父さんを説得するのはずるい。
「宮ねぇ、みーやーねぇーっ!ちょっと、あの人らと私は関わりたくないんだけど。嫌だよ、私行かない・・・」
宮「莉犬くんとるぅとくんは別に良いでしょう?今年は天才さんたちが沢山入って来る年。それに、七くんとかには言っておくから。」
「でも!」
宮「あなた、あそこは本当に楽しいわ。私だって、ホグワーツの学生なんだから。貴女はどこに入るのかしらね?グリフィンドールに入るんだとは思うけど、スリザリンは知早兄が卒業してるからね。レイブンクローにいらっしゃいよ、私レイブンクローの監督生だから。」
「・・・(無駄だったな。)分かった、私行くから。」
諦めて、ベッドに潜り込んだ。
不安なんてない。
いくつかの感情がないから。
足りない感情 1
不安
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。