こんにちは、あなたです。
時は(無駄に早く)巡り、9月1日。
ホグワーツ特急に乗る日、ホグワーツに入学する日です。
宮「あそこに向かって歩いて。怖がらないで」
そう耳元に囁くと、お姉ちゃんは歩く。
一瞬で掻き消えた。
私はお母さんとカートを押す。
ちなみにお父さんとお兄ちゃんは、9歳の日楼(ひろ)と蒼弥(そうや)に連れ回されて居るはず。あの双子は地頭がいい。街中で無駄に魔法を使うこともないはず、それに、沢山のことを学ん出るはず。
壁が迫ってきた。
ぶつかる。はずもなく。
通り抜けた。
蒸気の立ち込めるプラットフォームで沙来を見つける。いや、見つけられる。
沙「あなた、久しぶりー!こんにちは、美戸影さん。」
「沙来、久しぶりって3日前会ったでしょ」
私のツッコミを華麗にスルーして、お母さんと沙来は話し始める。
そうこうしているうちに、がやがやと周りの人が汽車に乗り始めた。
母「あら、もうじかんだわぁ。宮はさっきお別れしたから。それじゃあね、フクロウ送るのよ!」
ばいばいっと手を振って、沙来が取ってくれていたコンパートメントへ向かう。
途中汽車が動き出し、よろけたけど、無事にたどり着いた。
その中には、やはりというべきか、案の定と言うべきか。
「こんにちは、さか兄。」
四人組の1人に声をかけ、トランクを引っ張り込む。
うらた「よう、あなた」
「・・・」
坂「うらさん、無視されたな」
センラ「なんでセンラ達に対する態度とは違うんです?」
「そりゃあね、さか兄かっこいいし好きだから。あと志麻兄、足見るのやめて」
う「おい刺さったぞ?心にグサってなったぞ?おいあなた、俺ら3人傷ついたんだけど、どうしてくれる」
「お互いぎゅーでもしとけば。」
志「おい」
その時、コンパートメントの扉が開いて、白い塊が飛び込んで来た。
ま「あなたぁ〜っ!寂しかったぁ!泣」
「おー、よしよし、大丈夫でちゅか、寂しかったでちゅね(棒)」
さ「あなた、膝枕してー」
そ「おれもー」
「あなたがたに関しては何言ってんの」
る「あなた、蛙チョコレート食べません?」
り「かぼちゃパイも美味しかった✧︎」
「莉犬くんいらっしゃーい、るぅとくん、助かったよ、そら兄とさと兄が膝枕とか言うんだけど」
る「あ、車内販売の魔女さん、ビール瓶あったりしません?」
な「大丈夫です、いらないです」
「なー兄、邪魔しちゃだめだよ」
コンパートメントはもういっぱいで、ぎゅうぎゅうだ。
それぞれが自分の場所に落ち着くと、まふが話しかけてきた。
ま「ねぇ、あなたって魔法使える?」
「使えるよ」
さ「おお、使ってみて」
「いいよ。アクシオ 来い」
杖を構えて呼び寄せ呪文を唱えると、ひゅんっとうら兄の舐めようとしていた砂糖羽根ペンが手元に飛んでくる。
う「あ、俺の!ちょっとあなた返して!」
飛びかかってきたうら兄に向かって杖を振る。
「ペトリフィカス・トタルス 石になれ」
コンパートメント内がざわめく。涼しい顔をしているのは沙来だけだ。沙来はヒョイっと杖を振って石になったうら兄を戻す。
坂「あなた、凄いなぁ。」
さ「ちょ、おい、なんで四年生で習う呼び寄せ呪文を・・・」
な「いやマジで?え?」
ジェ「それ俺らにも出来へんで!?」
志「天才かよ」
そ「天才だな」
「うるさい。シレンシオ 黙れ」
杖を突き刺すように振ると、沙来以外が強制的に黙らされる。
沙「あんた凄いねー。あれ、まふ、時計割れてる。レパロ 直れ」
まふの腕時計に杖を向けた沙来だった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。