第8話

♯8 保健室で告白
224
2019/12/28 10:46
保健室には、私とあめ君しかいない。

あめ君が、付けてくれた消毒液が

じわりと染みる。
羽島 あいの
羽島 あいの
好き…私、あめ君が好き
七池 あめ
七池 あめ
えっ
口先から、思わず
自分の抑えらない気持ちが溢れた。
羽島 あいの
羽島 あいの
ごめん…彼女いるのも
知ってる
羽島 あいの
羽島 あいの
あめ君が、みんなに
優しいってことも知ってる
羽島 あいの
羽島 あいの
でも、それでも私は
あめ君に好きって言いたい
羽島 あいの
羽島 あいの
勝手なのは、わかってる
でも、もうこの気持ちを、
抑えられそうにない…
あめ君…お願い
何か言って…

どうせ、振られるなら
はっきりと言って欲しい
七池 あめ
七池 あめ
何を、言ってるの?
羽島 あいの
羽島 あいの
ごめんなさい…
あめ君は、私の親指に
ばんそうこうを、貼ると

私の事を、じっと見つめた。
七池 あめ
七池 あめ
俺が、彼女いるなんて
いつ言った?
羽島 あいの
羽島 あいの
いや、その…
私は、ゴクンと唾を飲み
あめ君から、視線を外す。
七池 あめ
七池 あめ
目を、逸らさないで
羽島 あいの
羽島 あいの
いや…
七池 あめ
七池 あめ
じゃあ、俺が
そっち行くから
あめ君は、椅子から
離れると私の目の前に立った。
七池 あめ
七池 あめ
彼女なんて、俺には
いないよ
羽島 あいの
羽島 あいの
でも、日曜日に
楽器屋さんの前で…
七池 あめ
七池 あめ
楽器屋さん?
七池 あめ
七池 あめ
ああ、あの人は  
俺のいとこだよ…
羽島 あいの
羽島 あいの
いとこ!?
七池 あめ
七池 あめ
日曜日に、俺のこと
見かけて、それでいとこを
俺の彼女と勘違いしたわけか…
七池 あめ
七池 あめ
覗き見まで、するとは
ちょっと…驚きかも
羽島 あいの
羽島 あいの
ごめんなさい…
覗く気は、なかったんだけど
羽島 あいの
羽島 あいの
あめ君の事を、見かけたら…
目が離せなくなって
目をギュッとつぶる。
嫌われてしまったかも、しれない
七池 あめ
七池 あめ
羽島さん…
私の頭の上を、あめ君が
ポンと撫でた。
七池 あめ
七池 あめ
俺、羽島さんには
ごめんって、言って欲しくない
七池 あめ
七池 あめ
羽島さんだけには
笑っていて欲しいんだ。
七池 あめ
七池 あめ
俺なんか
何も取り柄が、ないと思ってた。
七池 あめ
七池 あめ
でも、羽島さんが
初めて俺の、ギターを
聴きに、音楽室に来てくれた時
七池 あめ
七池 あめ
嬉しかったんだ。
七池 あめ
七池 あめ
誰も、俺のギターなんて
目もくれない
七池 あめ
七池 あめ
それでも、いいって
思ってたけど…
七池 あめ
七池 あめ
俺の側には
やっぱり、羽島さんにいて欲しい…
羽島 あいの
羽島 あいの
あめ君
七池 あめ
七池 あめ
俺も、羽島さんが
好きです
七池 あめ
七池 あめ
羽島さん
じゃなきゃ、嫌だ
羽島 あいの
羽島 あいの
・・・
涙が、ツーと
こぼれた。

その一言で、私は
泣いちゃうくらいあめ君が

好きになっていた。
羽島 あいの
羽島 あいの
嘘…じゃ、ないよね?
七池 あめ
七池 あめ
嘘って?
羽島 あいの
羽島 あいの
だから…その
七池 あめ
七池 あめ
ん?
こっ、これは…私の事を

試しているのだろうか?

あめ君が、微笑みながら
私に、質問の答えを言わせようと
してくる。
七池 あめ
七池 あめ
言わなきゃ、わかんないよ?
上目遣いで、私に

そう言ったあめ君…

あれ?あめ君って、こんな
イジワルな人だったけ?
羽島 あいの
羽島 あいの
だから、私のことを
好きって…
あめ君は、柔らかい
クシャッとした笑顔で
七池 あめ
七池 あめ
うん
と、答えた。
羽島 あいの
羽島 あいの
いいの?
私なんかで…
羽島 あいの
羽島 あいの
いとこさん、みたいに
可愛くないし、図々しいし…
私は、顔を真っ赤に
しながら、慌てふためいた。
七池 あめ
七池 あめ
落ち着いてって
羽島 あいの
羽島 あいの
でも!
七池 あめ
七池 あめ
確かに、羽島さんって
ちょっと天然な所あるし…
七池 あめ
七池 あめ
たまに、心配に
なることも、あるけど…
七池 あめ
七池 あめ
俺を、見つけてくれた
大切な人だから…
七池 あめ
七池 あめ
それに、わたわた
一人でやってるの、見るの
結構楽しいし
羽島 あいの
羽島 あいの
ちょっと!
七池 あめ
七池 あめ
俺さ、自分から
好きとか言えないし…
七池 あめ
七池 あめ
羽島さんの、思ってる
ような奴じゃないかもしれない…
七池 あめ
七池 あめ
それでも…
羽島 あいの
羽島 あいの
思ってる奴じゃなくて、
結構!!
羽島 あいの
羽島 あいの
私は、あめ君に
好きって言ってもらえた
だけで、十分嬉しいから…
羽島 あいの
羽島 あいの
初めての、私の彼氏
よろしくお願いします…
私の手を、あめ君が
優しく握ると
七池 あめ
七池 あめ
初めての、俺の彼女さん
よろしくお願いします…
と、私のマネをしたので
2人して笑ってしまった。
七池 あめ
七池 あめ
でも、俺…
何を、どうしていいか
羽島 あいの
羽島 あいの
あめ君は…
私の側で、ギターでも
弾いてくれたらいいよ。
七池 あめ
七池 あめ
羽島さん…
七池 あめ
七池 あめ
うん。そうだね
今、とてつもなく

私の心は、ふわふわドキドキ
して、いて…

初めて実った恋に戸惑いながらも
嬉しくてしょうがないよ。

やっぱり、恋の神様は
いたのかもしれない…

あめ君と、ずっと一緒に
いたい…

私は、あめ君に
気づかれないように、ありがとう
と、小さく呟いた。

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