第7話

♯7 家庭科とトキメキ
207
2019/12/28 09:39
先生
先生
それでは、みなさん
各自かくじ調理を始めてください
家庭科の先生の号令で、一斉いっせい
班に分かれて、調理を開始する。
小枝 光
小枝 光
なに、ため息ついてるのよ
あんたは・・・
羽島 あいの
羽島 あいの
べつに〜
早く、お味噌汁作ろうかなって
小枝 光
小枝 光
その割には、全然
手を動かしてないじゃない
羽島 あいの
羽島 あいの
動かしてるよ〜
学校が、始まっても
日曜日に見てしまった、あめ君と

その彼女さんの、事が気になって、
ぎこちなく過ごしていた。
男子高生
男子高生
俺らは、野菜炒めで
いいんだっけ?
小枝 光
小枝 光
ああ、まかせた
男子高生
男子高生
任せろって!
家庭科の授業で、班に分かれて
それぞれ、家庭料理を2品作るのが
今日の課題・・・なのだが
七池 あめ
七池 あめ
俺は、何をすればいい?
羽島 あいの
羽島 あいの
・・・
あああ、あめ君が
班にいるんだった・・・

私が、視線を合わせづらいって
時に限って、家庭科の授業あるんだもんな。

少しは、空気読んでよ!神様・・・
いるわけないか…神様なんて
小枝 光
小枝 光
ほら、あいの
あめ君に、指示して
羽島 あいの
羽島 あいの
あ、あめ君…
恐る、おそる
あめ君に声をかける。
七池 あめ
七池 あめ
ん?
羽島 あいの
羽島 あいの
はっ
目が、合い…私は、ブンっと
顔を右にらす。

やばい、目があった・・・
何、今更変な意識してるの!!

バカ・・・・好きとか
意識するのは、ダメだ。

平常心を保て、私!!
昨日、この「好き」は、諦めるって
決めたばかりなのに・・・
七池 あめ
七池 あめ
野菜とかなら、
俺でも切れると思うよ?
羽島 あいの
羽島 あいの
あ、うん
野菜ね…じゃあ、玉ねぎを…
ザクーーーー
羽島 あいの
羽島 あいの
ポタッ・・・ポタッ
何か、手に…
七池 あめ
七池 あめ
羽島さん!手
手が・・・
小枝 光
小枝 光
あいの、あんた
どこ見てるのよ!?
ふと、自分の手を
見ると…包丁の刃先に

親指の先を、当てていて
血が、ポタポタと流れ落ちていた。
羽島 あいの
羽島 あいの
いっ、痛あっ
包丁を握っていたのに、
あめ君の事を、考えていたりして

野菜の皮むきに集中していなかった
せいだ!
七池 あめ
七池 あめ
大丈夫?先生に…
先生
先生
あら!大変
皮むきで、指を切ったのね
先生
先生
あ、誰か
羽島さんを、保健室に…
小枝 光
小枝 光
私、行こうか?
羽島 あいの
羽島 あいの
光、お願…
男子高生
男子高生
ダメだ!小枝が、いなくなったら、
料理作れる奴いなくなるし!
小枝 光
小枝 光
それも、そうね…
じゃあ
光は、あめ君の
背中をポンっと、押すと
ニコリと、笑ってこう言った。
小枝 光
小枝 光
悪いけど、あめ君
あいののこと、保健室によろしく
羽島 あいの
羽島 あいの
えっ
七池 あめ
七池 あめ
わかった
あめ君は、私の腕を掴むと
ズンズンと保健室に向かって行った。
羽島 あいの
羽島 あいの
いや、あめ君!
あの…
どうしよう、どうしよう…
血は、止まらないし…

今は、あめ君と一緒にいたくないのに
保健室に連れて行ってくれるなんて

嬉しい・・・
やばい、好きになっちゃダメなのに

彼女さんが、いるのに・・・
でも、学校にいる時だけは、私が

一番近くに、いられるのかな…
七池 あめ
七池 あめ
手を、出して
保健室には、先生が
不在だったため、あめ君が

私の、親指を手当てしてくれる
みたいだけど…
羽島 あいの
羽島 あいの
・・・
ドキドキ…

心臓の音が、うるさい…

この時間だけは、あめ君と
一緒にいたい…

そう思ってしまうんだ。

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