家庭科の先生の号令で、一斉に
班に分かれて、調理を開始する。
学校が、始まっても
日曜日に見てしまった、あめ君と
その彼女さんの、事が気になって、
ぎこちなく過ごしていた。
家庭科の授業で、班に分かれて
それぞれ、家庭料理を2品作るのが
今日の課題・・・なのだが
あああ、あめ君が
班にいるんだった・・・
私が、視線を合わせづらいって
時に限って、家庭科の授業あるんだもんな。
少しは、空気読んでよ!神様・・・
いるわけないか…神様なんて
恐る、おそる
あめ君に声をかける。
目が、合い…私は、ブンっと
顔を右に逸らす。
やばい、目があった・・・
何、今更変な意識してるの!!
バカ・・・・好きとか
意識するのは、ダメだ。
平常心を保て、私!!
昨日、この「好き」は、諦めるって
決めたばかりなのに・・・
ザクーーーー
ポタッ・・・ポタッ
何か、手に…
ふと、自分の手を
見ると…包丁の刃先に
親指の先を、当てていて
血が、ポタポタと流れ落ちていた。
包丁を握っていたのに、
あめ君の事を、考えていたりして
野菜の皮むきに集中していなかった
せいだ!
光は、あめ君の
背中をポンっと、押すと
ニコリと、笑ってこう言った。
あめ君は、私の腕を掴むと
ズンズンと保健室に向かって行った。
どうしよう、どうしよう…
血は、止まらないし…
今は、あめ君と一緒にいたくないのに
保健室に連れて行ってくれるなんて
嬉しい・・・
やばい、好きになっちゃダメなのに
彼女さんが、いるのに・・・
でも、学校にいる時だけは、私が
一番近くに、いられるのかな…
保健室には、先生が
不在だったため、あめ君が
私の、親指を手当てしてくれる
みたいだけど…
ドキドキ…
心臓の音が、うるさい…
この時間だけは、あめ君と
一緒にいたい…
そう思ってしまうんだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。