今日も、いつものように
あめ君のいる第2音楽室に向かう。
あめ君の横に、座りこむ。
そして、いつも
はなみはなさず持っている
ギターを、探すが
みつからない。
私の質問に、あめ君は
慎重に答えた。
真央?
どうして、急に?
私は、不思議になって
首をかしげた。
知らなかった。
あめ君は、もうちゃんと、自分の
未来、進路について
ちゃんと考えてたんだ。
すると、あめ君は
少し安心したように笑った。
私と、あめ君は
手を取り合い静かに目を閉じた。
私たちは…
俺たちは…
きっと、高校生のとき
この第2音楽室で、過ごした時間を
忘れることはない。
それは、心に刻まれた
不思議な恋の旋律。
あの日の音楽室に刻まれた
恋の音色なんだ。
おわり
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!