前の話
一覧へ
次の話

第19話

♯19 あの日の音楽室に刻まれた恋の音色
393
2020/01/28 07:26
今日も、いつものように
あめ君のいる第2音楽室に向かう。
羽島 あいの
羽島 あいの
あめ君、いる?
七池 あめ
七池 あめ
羽島さん…
あめ君の横に、座りこむ。
そして、いつも
はなみはなさず持っている

ギターを、探すが
みつからない。
羽島 あいの
羽島 あいの
あれ?
あめ君、ギターは?
私の質問に、あめ君は
慎重に答えた。
七池 あめ
七池 あめ
ギターを、真央君に
あげたんだ。
羽島 あいの
羽島 あいの
え?
真央?
どうして、急に?
七池 あめ
七池 あめ
真央君に、どうしても
たくしたくって。
羽島 あいの
羽島 あいの
あめ君、どうしたの?
何か悩んでる
私は、不思議になって
首をかしげた。
七池 あめ
七池 あめ
羽島さん、俺…
現実から、目を逸らさない
ことにしたんだ。
羽島 あいの
羽島 あいの
目を、逸らす?
七池 あめ
七池 あめ
大学に、進学するには
いつまでもギターを、弾いてるわけには
いかない
七池 あめ
七池 あめ
だけど、あのギターは、
じいちゃんが買ってくれた大切な
ギターだったから、売りたくなかったんだ。
七池 あめ
七池 あめ
だから、これから
勉強する間と、大学に行ってる間
真央くんに、預かってもらうことに
したんだ。
知らなかった。
あめ君は、もうちゃんと、自分の

未来、進路について
ちゃんと考えてたんだ。
羽島 あいの
羽島 あいの
なら、私も
これからでも、今からでも
ちゃんと自分の未来を考えるよ
羽島 あいの
羽島 あいの
あめ君が、決めたんだから
私だって、何か見つけられるはず!
すると、あめ君は
少し安心したように笑った。
七池 あめ
七池 あめ
よかった
七池 あめ
七池 あめ
もし、羽島さんが  
認めてくれなかったら、どうしようと
思った
羽島 あいの
羽島 あいの
認めるに決まってるよ!
一人で悩まないで
羽島 あいの
羽島 あいの
私は、これからも
高校を卒業しても…あめ君と
一緒に進んで行きたいんだから!
羽島 あいの
羽島 あいの
だから、一人で悩まないで
一緒に進んでいこう…
私と、あめ君は
手を取り合い静かに目を閉じた。
羽島 あいの
羽島 あいの
大好きだよ
七池 あめ
七池 あめ
俺も、羽島さんが
好きです
羽島 あいの
羽島 あいの
卒業しても…大学が
離れ離れになっても
七池 あめ
七池 あめ
たとえ、2人の
なりたい夢が違っても…
私たちは…

俺たちは…

きっと、高校生のとき

この第2音楽室で、過ごした時間を

忘れることはない。

それは、心に刻まれた

不思議な恋の旋律。

あの日の音楽室に刻まれた

恋の音色なんだ。
おわり

プリ小説オーディオドラマ