第14話

♯14 幸せな時間
161
2020/01/15 09:54
ガチャ

鍵を、開けると真っ先に
真央まおが、家の中に入っていく。
羽島 真央
羽島 真央
えへへ、1番〜
羽島 あいの
羽島 あいの
真央〜
靴、ちゃんと揃えて?
羽島 真央
羽島 真央
あいの〜
ジュース飲みた〜い
羽島 あいの
羽島 あいの
・・・
私は、やれやれと
弟の靴を、直すと自分も

家の中に入っていく。
七池 あめ
七池 あめ
・・・
羽島 あいの
羽島 あいの
あ、あめ君!
その袋重いでしょ?貸して
私は、あめ君から
袋を受け取ると、台所に運んだ。
羽島 真央
羽島 真央
ねえ、あめも
上がっていいんだよ?
羽島 真央
羽島 真央
はやく、来て
七池 あめ
七池 あめ
わ、でも…ちょっ
真央に急かされて、あめ君も
家に上がる。
羽島 あいの
羽島 あいの
あ、あめ君ごめん
中入ってって、言ってなくて
七池 あめ
七池 あめ
いいよ、でも
勝手に入っちゃったけど、大丈夫?
羽島 あいの
羽島 あいの
大丈夫?
あ、そっか…
他人の家に、いきなり来たら

気まずいよね…
羽島 あいの
羽島 あいの
うん、大丈夫。
あめ君が、いても私は全然平気!
七池 あめ
七池 あめ
・・・イヤ、そうじゃなくて…
羽島 真央
羽島 真央
ねえ!
あめ、真央の部屋に来て!!
七池 あめ
七池 あめ
えっ
七池 あめ
七池 あめ
おっ!
真央に、引っ張られて
あめ君は、真央の部屋に姿を消した。
羽島 あいの
羽島 あいの
あめ君、浮かない顔だったけど
少し、今は真央と遊んでてもらおう
私は、子供用のタンスから
真央のパジャマを、出したり

スポーツドリンク、冷えピタを
用意することにした。
その頃…真央の部屋
羽島 真央
羽島 真央
で、これが
ブラックと、ホワイトマン…
羽島 真央
羽島 真央
で、これが、新幹線と…救急車ね?
七池 あめ
七池 あめ
すごいね、真央くん
たくさんおもちゃ持ってるんだ。
羽島 真央
羽島 真央
すごくないもん
まだ、新しいの買ってくれないし…
ママ のケチ…
七池 あめ
七池 あめ
アハハ…
そうだね
七池 あめ
七池 あめ
でも、俺は
こんなにおもちゃ、持ってなかったから
真央くんが、うらやましいな
羽島 真央
羽島 真央
持ってないの?
羽島 真央
羽島 真央
じゃあ、何なら
持ってるの?ブロック?ロケット?
七池 あめ
七池 あめ
いや…
七池 あめ
七池 あめ
ギター
七池 あめ
七池 あめ
じいちゃんが、子供の時に
買ってくれたギターなら、持ってるよ。
羽島 真央
羽島 真央
え?ギター
なあに、それ…
七池 あめ
七池 あめ
えっと、弦が6本張ってあって
それを、押さえて弾くと音が鳴る…
弦楽器かな?
羽島 真央
羽島 真央
???
弦?がっき…よくわかんない
七池 あめ
七池 あめ
じゃあ、今度
見せてあげようか?
羽島 真央
羽島 真央
えっ!本当?
やった〜、ねえ、約束だよ?
七池 あめ
七池 あめ
うん、わかった。
羽島 真央
羽島 真央
ハ、ハクション!!
七池 あめ
七池 あめ
あ、真央くん
鼻かまないと…
トントン
羽島 あいの
羽島 あいの
真央〜
そろそろ、布団に…
羽島 あいの
羽島 あいの
あ、ティッシュ!ティッシュ!
羽島 真央
羽島 真央
へ、ハッ…ハックショオン
羽島 あいの
羽島 あいの
鼻、チーンして?
私は、真央に鼻を
かませると、服を脱がせ

パジャマに着替えさせる。
七池 あめ
七池 あめ
何か手伝おうか?
羽島 あいの
羽島 あいの
じゃあ、体温計
持ってきてくれるかな…台所の中に
ある、救急箱の中に、あるから
七池 あめ
七池 あめ
わかった。
その後、布団に入りたくない
真央をなだめながら、あめ君が

持ってきた体温計で、熱を
はかると、37.2度と微熱だった。
羽島 真央
羽島 真央
ズズズー
あめも、一緒に寝よう
七池 あめ
七池 あめ
うーん、じゃあ
真央くんが寝るまで横にいるから
羽島 あいの
羽島 あいの
真央、鼻チーン
羽島 真央
羽島 真央
あいのも、側にいて・・・
羽島 あいの
羽島 あいの
うん、いるよ…
元気そうに、見えた真央も
やはり、少し熱があるのは

確かで、鼻水は止まらなくなって
きたし、クシャミも多い。

少し、心配になってきたけど、
あめ君も側にいてくれるから…

少し安心できた。
羽島 真央
羽島 真央
ZZZ
七池 あめ
七池 あめ
…あ、真央くん寝た?
羽島 あいの
羽島 あいの
…ん、ん?
羽島 あいの
羽島 あいの
あ、私…今、寝そうになってた?
七池 あめ
七池 あめ
アハハ、ちょっとね
いつも過ごしてる、自分の家の中に
あめ君がいるなんて…ちょっと

不思議。あめ君が、来るんだったら
リビングとか、少し片付けて

おくべきだった…
七池 あめ
七池 あめ
じゃあ、俺は
帰るね
羽島 あいの
羽島 あいの
あ、今日は本当に
ありがとう!!
羽島 あいの
羽島 あいの
映画、見れたのすごく
楽しかったし、真央の迎えや
面倒まで見てくれて…
なんだろう…感謝で
心がいっぱいになる。
羽島 あいの
羽島 あいの
本当に、楽しかった…
えへへ
気づけば、私は
自然と笑顔になっていた。
七池 あめ
七池 あめ
本当に、不思議…
羽島さんに会うまで、俺
七池 あめ
七池 あめ
誰かと映画なんて観たり、したこと
なかったんだよ。
七池 あめ
七池 あめ
羽島さんと、いると
俺の中にいろんな感情が出来て
あったかい気持ちになる。
そんなこと…言われたら
嬉しくて…どうしようもなくなってしまう
羽島 あいの
羽島 あいの
あめ君、また
一緒に遊びに行こうね。
七池 あめ
七池 あめ
また…って、言われるの
嬉しいね。
羽島 あいの
羽島 あいの
・・・・
七池 あめ
七池 あめ
・・・じゃあ
パタン…

静かに、閉まる玄関の音。

私は、声を出さずに、その場で
幸せを噛み締める。
あめ君と出会えて…
良かった。
羽島 真央
羽島 真央
ZZZ
羽島 あいの
羽島 あいの
・・・
真央の元へ、戻り
頬に手を当てる。
羽島 あいの
羽島 あいの
大丈夫だよ〜
私が、側にいるから…
気がつけば…私も
そのまま眠りについていた。
ガチャガチャ…
お母さん
お母さん
ごめ〜ん!あいの〜
真央大丈夫?
お母さん
お母さん
あら?
2人寝てる…ふふ
幸せそう…写メ撮っちゃおうかしら
羽島 あいの
羽島 あいの
ん…ん…?お母さん
お母さん
お母さん
やだ、起きちゃった
残念…
目を覚ました時、時計は
5時半を過ぎていた。
羽島 あいの
羽島 あいの
やばっ!私…
いつのまにか、寝ちゃてて…
スカートのシワを、伸ばし
立ち上がる。
お母さん
お母さん
真央〜
お母さん、帰って来たよ〜
羽島 真央
羽島 真央
…ママ?
真央は、目をゴシゴシと
こすりながら、布団から出る。
羽島 真央
羽島 真央
あれ…あめは?
お母さん
お母さん
うん、ちょっと待ってね
あいの、のど飴ある?
お母さん
お母さん
ほら、フルーツ味のやつ
羽島 真央
羽島 真央
!違う…あめ!あめが…
いない
真央は、ギュウッと
顔をしかめて、今にも泣きそうになる。
お母さん
お母さん
あらあら、真央くん
寝ぼけてるんですね?大丈夫…
もう、起きたのよ〜
真央は、お母さんの手を
払うと、私の方に駆け寄って来た。
羽島 真央
羽島 真央
あいの!あめは?
もう、帰っちゃったの?
羽島 あいの
羽島 あいの
・・・・・
お母さん
お母さん
あめ?飴でしょ?
羽島 あいの
羽島 あいの
・・・・あめ君は
もう、帰っちゃったよ
羽島 真央
羽島 真央
そんなあ!
まだ、遊びたかったのに…ううう
真央は、グスッとベソを
かきはじめた…

そして、お母さんからの
物凄い視線を感じる。
お母さん
お母さん
あいの?あめ君って誰?
羽島 真央
羽島 真央
あいのの、おともだち…グス
お母さん
お母さん
ただの、お友達なの?
羽島 あいの
羽島 あいの
えっ、ああ…う〜んと
お母さん
お母さん
あめ君…男の子よね?
羽島 あいの
羽島 あいの
・・・・・うん
羽島 真央
羽島 真央
あめは、髪が紺色で
背が高くて、ぼくを、おんぶして
くれたの〜
羽島 あいの
羽島 あいの
真央
お母さんが、クスクスと
笑っている。

なんか、イヤな予感しかしない…
お母さん
お母さん
もしかして〜
それって…あいのの…カレシ?
・・・・・・

お母さん…鋭い、鋭いよ…
羽島 あいの
羽島 あいの
そう…だよ
羽島 あいの
羽島 あいの
////あめ君は、私の
彼氏だよ
言った…言っちゃった。
顔が、ジュ〜っと、熱くなる。
羽島 真央
羽島 真央
違うよ、カレシじゃなくて
おともだち…
羽島 あいの
羽島 あいの
真央、大丈夫…
本当は彼氏で、合ってるから
羽島 真央
羽島 真央
ぼくに、嘘ついたの?
羽島 あいの
羽島 あいの
…嘘というか
真央には、まだ、わからないかなって
お母さん
お母さん
お母さん…知らなかったわ…
ねえ、教えてくれない?
お母さん
お母さん
2人の関係を…あと
写真があったら、見せて!!はやく♡
羽島 あいの
羽島 あいの
ムリムリ、ていうか
写真なんか、ないし!何言ってるの
お母さん!!!
お母さん
お母さん
はあ?娘が、彼氏と
付き合ってるんだから…普通聞くでしょ
羽島 あいの
羽島 あいの
お母さんに、言たくないよ!
照れくさい////
お母さん
お母さん
じゃあ、真央くんに
聞くから、いいわ…
お母さん
お母さん
真央〜
あめ君って、カッコよかった?
お母さん
お母さん
芸能人に例えると
誰似?
羽島 真央
羽島 真央
えっ?わかんな〜い
羽島 あいの
羽島 あいの
もう、わかった、話すから!!!
この後、お母さんに
根掘り葉掘り聞かれて

すごく疲れた…
でも、お母さんには、知られちゃた

けど、私が、あめ君と一緒にいても
これで、わけを話せるよね?

「今度、ぜひお顔が見たいわ♡」なんて
お母さんは、言うけど…

お母さんを、あめ君を合わせたら
話が止まらなくなるんじゃないかと

思って怖い…
ピッ
羽島 あいの
羽島 あいの
もしもし…ひかり
今日は、一緒に映画に付き添ってくれて
ありがとう
小枝 光
小枝 光
なあに〜
そんなこと、いちいち言うために
電話くれたの?ありがとう
小枝 光
小枝 光
真央くん、あれから
大丈夫?
羽島 あいの
羽島 あいの
うん、いま
お母さんと子供クリニック
行ったから…
小枝 光
小枝 光
それで?私に
何か、言いたいことでも
あるんじゃないの?
羽島 あいの
羽島 あいの
・・・やっぱり
わかった?
小枝 光
小枝 光
何?
羽島 あいの
羽島 あいの
お母さんに、あめ君が
彼氏だって言いました…
小枝 光
小枝 光
ほほお〜
やりますなぁ、あいの殿
小枝 光
小枝 光
これで、家族公認って
わけね?
家族公認って…
でも、そうだったら嬉しいな…

その夜、私は今日起きた
出来事を思い出しながら…ウトウトと
眠りについたのだった。

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