第17話

♯17 刺激の強いバレンタイン
162
2020/01/24 09:01
七池 あめ
七池 あめ
じゃあ、またね
羽島 あいの
羽島 あいの
あの!あめ君
放課後…いつものように
音楽室でギターを弾いていた

あめ君。私は、帰る前に
どうしても言いたいことがあった。
羽島 あいの
羽島 あいの
今日…一緒に
帰らない?
七池 あめ
七池 あめ
うん、いいよ
今日の、私は
一味違う…バッグには、ひかり

作ったバレンタインのチョコが
入っている。
夕日を、眺めながら
私とあめ君が、無言で帰る。
羽島 あいの
羽島 あいの
七池 あめ
七池 あめ
私は、無意識にそっと
あめ君の手に手を伸ばすが…
七池 あめ
七池 あめ
羽島 あいの
羽島 あいの
あめ君と目が合ったので、
慌てて、手を戻す。

帰り道に、手を繋いで帰ったり
1度でいいから…してみたいと

思ってしまう。
こんなこと、普通に思ってしまう

ようになった私は
ずいぶんと、わがままになったものだ。
ギュっ
羽島 あいの
羽島 あいの
あめ君…
私の手を、軽く握ると
そのまま歩き出すあめ君。
七池 あめ
七池 あめ
手を伸ばしてるのが見えたから、
繋ぎたいのかなって思って・・・
そう言ってた、あめ君の
横顔は、少し照れてるように見えた。
羽島 あいの
羽島 あいの
今、すごくドキドキしてる…
七池 あめ
七池 あめ
恥ずかしいから、あんまり
こっち見ないで////
羽島 あいの
羽島 あいの
照れてる、あめ君が
すごく珍しくて愛らしい…

私は、鼻歌でも歌いたい
気分になった。
七池 あめ
七池 あめ
手、冷たいね…
羽島 あいの
羽島 あいの
う〜ん、私冷え性なのかも
あめ君は、「ふ〜ん」と
頷くと空を見上げた。
七池 あめ
七池 あめ
今日は、満月になるね
羽島 あいの
羽島 あいの
そうなの?
七池 あめ
七池 あめ
昨日、ベランダから
月を見てたから、たぶんそう…
羽島 あいの
羽島 あいの
月とか、眺めてるんだ?
私は、そんなあめ君が
面白くてクスクスと笑ってしまう。
七池 あめ
七池 あめ
見るよ…でも
冬に観る夜空の方が、俺は好きかな
羽島 あいの
羽島 あいの
そうなんだ…私も
帰ったら、お月様眺めてみようかな…
七池 あめ
七池 あめ
うん、そうしなよ
あめ君は、目を細めて笑った。
マンションまでの、中間地点の
公園に着いた。

私は、あめ君を、公園の
ベンチに座らせると

ちょっとした、クイズを
あめ君に出題する。
羽島 あいの
羽島 あいの
今日は、なんの日でしょうか?
七池 あめ
七池 あめ
今日?
七池 あめ
七池 あめ
2月…14日…?
七池 あめ
七池 あめ
えっと、誰かの誕生日とか?
あめ君は、あれこれ
考えるが、なかなか正解にたどりつかない。
羽島 あいの
羽島 あいの
正解は、バレンタインでした!
はい、どうぞ
私は、スクバから
ラッピングした、キャンディー風な
チョコを手渡す。
七池 あめ
七池 あめ
これ、羽島はしまさんが
作ったの?
羽島 あいの
羽島 あいの
そうだよ、手作りなのです!
私は、少し緊張しながら
あめ君に笑いかける。
七池 あめ
七池 あめ
食べていい?
羽島 あいの
羽島 あいの
い、今、食べてくれるの?
嬉しい
七池 あめ
七池 あめ
うん、開けるね
あめ君は、ラッピングした
リボンを解くと、チョコレートを

パクリと食べた。
七池 あめ
七池 あめ
モグモグ…
羽島 あいの
羽島 あいの
・・・
あめ君は、ゴクンと飲み込むと
「甘い」と言って私の方を見た。
七池 あめ
七池 あめ
俺、手作りチョコ食べるの
初めて…市販のよりおいしいね
羽島 あいの
羽島 あいの
・・・ああ、えっ!?
本当!よかったぁ
七池 あめ
七池 あめ
残りは、家で食べるね
羽島 あいの
羽島 あいの
うん、ぜひぜひ
そうして!
よかった〜
光と練習して、頑張ったかいが

あった。
バレンタインは、これほどまでに

ドキドキする日だったっけ。
七池 あめ
七池 あめ
なんか、いつも
俺ばっかり、羽島さんに色々
してもらってる気がする。
あめ君は、少し
落ち込んだ様子になる。
羽島 あいの
羽島 あいの
そ、そんなことないって!
あめ君には、ギター聴かせても
らったり、私は見てるだけで幸せ
なんだから
七池 あめ
七池 あめ
見てるだけでいいの?
羽島 あいの
羽島 あいの
えっ
それは…えっと

できれば、少し触れてみたい

気はあるんですけど////
羽島 あいの
羽島 あいの
じゃあ、ちょっとだけ
ギュって抱きしめてもいいですか?
何言ってるんだろう…

欲望丸出しな、私の願望を
あめ君に伝えてどうする!?
七池 あめ
七池 あめ
じゃあ、お願いします…
羽島 あいの
羽島 あいの
えっ、いいの?
七池 あめ
七池 あめ
うん
えっ、えっ////

自分で言っといて、いざ
抱きしめれるチャンスが来たのに

体が、動かない!!

私の、意気地なし!!
七池 あめ
七池 あめ
じゃあ、俺からってことで…
羽島 あいの
羽島 あいの
あめ…
ギュッ
羽島 あいの
羽島 あいの
////
七池 あめ
七池 あめ
羽島さんの心臓の音
すごく、鳴ってる…
羽島 あいの
羽島 あいの
あめ君〜
そりゃあ、鳴るよ////

嬉しいけど、ちょっと
プチパニックです。

あめ君に、甘えられて
私は嬉しくて爆発しそうです。
七池 あめ
七池 あめ
いつも、ありがとね
羽島 あいの
羽島 あいの
うん////
この時間が、ずっとずっと
続けばいい…私は

あめ君に、抱きしめられながら
静かに目を閉じる。

そして、目を開けると
あめ君が、ゆっくり私から

はなれていった。
羽島 あいの
羽島 あいの
あめ君、好きだよ
私は、ニコッと笑ってみせる。
七池 あめ
七池 あめ
俺以外に、そういう可愛い顔
見せないでね。
羽島 あいの
羽島 あいの
は、はいっ!
あめ君とわかれた
後も、しばらく頬が

熱かった。あめ君のことを
思い出すと、心臓がドキドキうるさい。

今年のバレンタインは
少し刺激の強いイベントとなりました。

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