放課後…いつものように
音楽室でギターを弾いていた
あめ君。私は、帰る前に
どうしても言いたいことがあった。
今日の、私は
一味違う…バッグには、光と
作ったバレンタインのチョコが
入っている。
夕日を、眺めながら
私とあめ君が、無言で帰る。
私は、無意識にそっと
あめ君の手に手を伸ばすが…
あめ君と目が合ったので、
慌てて、手を戻す。
帰り道に、手を繋いで帰ったり
1度でいいから…してみたいと
思ってしまう。
こんなこと、普通に思ってしまう
ようになった私は
ずいぶんと、わがままになったものだ。
ギュっ
私の手を、軽く握ると
そのまま歩き出すあめ君。
そう言ってた、あめ君の
横顔は、少し照れてるように見えた。
照れてる、あめ君が
すごく珍しくて愛らしい…
私は、鼻歌でも歌いたい
気分になった。
あめ君は、「ふ〜ん」と
頷くと空を見上げた。
私は、そんなあめ君が
面白くてクスクスと笑ってしまう。
あめ君は、目を細めて笑った。
マンションまでの、中間地点の
公園に着いた。
私は、あめ君を、公園の
ベンチに座らせると
ちょっとした、クイズを
あめ君に出題する。
あめ君は、あれこれ
考えるが、なかなか正解にたどりつかない。
私は、スクバから
ラッピングした、キャンディー風な
チョコを手渡す。
私は、少し緊張しながら
あめ君に笑いかける。
あめ君は、ラッピングした
リボンを解くと、チョコレートを
パクリと食べた。
あめ君は、ゴクンと飲み込むと
「甘い」と言って私の方を見た。
よかった〜
光と練習して、頑張ったかいが
あった。
バレンタインは、これほどまでに
ドキドキする日だったっけ。
あめ君は、少し
落ち込んだ様子になる。
それは…えっと
できれば、少し触れてみたい
気はあるんですけど////
何言ってるんだろう…
欲望丸出しな、私の願望を
あめ君に伝えてどうする!?
えっ、えっ////
自分で言っといて、いざ
抱きしめれるチャンスが来たのに
体が、動かない!!
私の、意気地なし!!
ギュッ
そりゃあ、鳴るよ////
嬉しいけど、ちょっと
プチパニックです。
あめ君に、甘えられて
私は嬉しくて爆発しそうです。
この時間が、ずっとずっと
続けばいい…私は
あめ君に、抱きしめられながら
静かに目を閉じる。
そして、目を開けると
あめ君が、ゆっくり私から
はなれていった。
私は、ニコッと笑ってみせる。
あめ君とわかれた
後も、しばらく頬が
熱かった。あめ君のことを
思い出すと、心臓がドキドキうるさい。
今年のバレンタインは
少し刺激の強いイベントとなりました。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。