あいのは、しばらく…
私を励ましていてくれた。
あいのと、わかれた後
一人部屋で考える。
私は、ベッドに寝転がると
壁に貼ってある、子供の頃の
響と2人で写った写真を、眺めた。
私は、響が近くにいるのは
当たり前だと、思っていた。
毎日、私の部屋に侵入して
くだらない愚痴を聞いて
それが、当たり前…
私の当たり前…
数日前…響の学校の女子に
言われたことを、思い出す。
私は、うじうじ考えるのが
嫌い。
イライラしたら、美味しいものでも
食べて早く寝ることが、モットー
だったはず…それなのに、
今の私は、全然私らしくない!!
立ち上がると、走って響の
家に向かう。
玄関は、鍵が閉まってなかったので
「失礼します」と一応声だけかけて、
一番奥の部屋…響の部屋へと
向かった。
トントン
ドアを、ノックする。
しかし、部屋からは
返事が返ってこない。
私は、再びドアをノックする。
すると、部屋の中から
静かな声で
と、響の声がした。
ガチャ…
部屋に入ると、ベッドの上に
響が座っていた。
私は、響のそばに近づく。
響は、顔を下げ
そっぽを、向く。
私は、突っ立ったまま、拳を
ギュッと握る。
ギュっ
響に、抱きしめられて
自然と涙がこぼれる。
響のくせに…どうして
私なんか、抱きしめるのよ…
響の声が
耳元近くで聞こえる。
照れて、ついつい
意地悪を、言ってしまう。
響は、私から離れると
私のことを見つめながら…
と、微笑んだ。
私は、ほっぺを押さえると
顔が真っ赤になり…
判断力を、失う。
私の、平手打ちを、ひょいっと
交わすと、後ろに回り込む。
響は、私の手を握ると
無邪気な笑顔で笑う。
ブニっ
私は、響のほっぺを
つねると、悪い笑顔を浮かべながら喋った。
ほっぺから、手を離すと
私は、小さく呟く。
目を、輝かせながら
響が話す。
響なんて、お子さまで
女好きで、チャラくて…
でも、側にいてほしい…
それは、恋とか好きとか
通り越してしまう…
私のわがままな気持ち。
今年の私は、ちょっと
わがままに、なっちゃうかもね。
響のことが、好きだって気付いて
しまったから。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。