第18話

♯18 夢の中の僕
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2020/01/27 08:07
子供の時に買ってもらった
ギター。

俺は、あれから独学で弾き方を
学んで、簡単な曲なら少し弾けるようになった。

ギターを、買ってくれたじいちゃんは、
子供の時からの、一番の理解者だ。

珍しく、夢をみた。
それは、子供の時の記憶に一番近かった。
あめ
あめ
じいちゃん!
ギター買ってくれて、ありがとう
じいちゃん
じいちゃん
子供には、ちと贅沢すぎるが、
私は未来のあめに、貢献したいんだよ
あめ
あめ
見てて、Gコード弾けるように
なったから
じいちゃん
じいちゃん
どれどれ…
バイ〜ン…ジャッ、ジャ…パキッ
あめ
あめ
あめ
あめ
だめだ、さっき
1回だけ成功したのに
じいちゃん
じいちゃん
まだ、手が小さいからな
大きくなったら、指で弦を
しっかり、押さえられるようになるさ
あめ
あめ
曲が、弾けるようになったら
じいちゃんに、一番に聴かせるから!
じいちゃん
じいちゃん
うん、楽しみにしてるよ…あめ
じいちゃんと、過ごせたのは
小学校の高学年まで、だった。

脳こうそくで、1回倒れてたせいで
2回目になった時…じいちゃんは

天国に飛びだった。
あめ
あめ
俺…少しギター
上手くなったよ。
あめ
あめ
じいちゃん、聴いてくれるって
言ったじゃないか…
そして、夢の記憶が
変わる…
七池 あめ
七池 あめ
あめの母
高校卒業したら、大学は
どこに行くか、決めてるの?
七池 あめ
七池 あめ
決めてない…
確か、この記憶は…
高校に入って、まもない頃の

記憶だ。俺の母さんは、少し
心配症な性格だった。
あめの母
従姉妹の結海ゆうみちゃん
もう、次に行く進路を決めたそうよ
七池 あめ
七池 あめ
結海姉さんが?
あめの母
あなたも、はやく
進路を決めなさいね。
あめの母
遊んでる暇は、ないのよ
あめの母
でも、母さんはあめの
決めた道に従うから…じっくりと
考えなさいね
七池 あめ
七池 あめ
…わかった
進路なんて…今まで自分で
決めてこなかった。

小学、中学と順番に通い
家から近い高校に行って…その先は

知らない、わからない。
夢なんか、とくに決めてなくて…

それでも、時間は進むし
いつか、決断をする日が来るんだろう。
自分は、今…寝ているはずなのに
見る夢全てが…ひとつの記憶と

なって映る。
そして、また場面が変わる。
羽島 あいの
羽島 あいの
あめ君、おはよう
七池 あめ
七池 あめ
これは、一番新しい
最近の記憶だ。

夢の中に、羽島はしまさんが
出てきた。
羽島 あいの
羽島 あいの
今日は、何の曲を弾いてくれるの?
七池 あめ
七池 あめ
今日は…
近くに、ギターケースを
探すが、なぜか見つからない。
七池 あめ
七池 あめ
羽島さん、もし
俺にギターがなくなっても
好きでいてくれる?
自分の中に、秘めていた気持ちを
思わずもらしてしまう。

相手は、夢の中の羽島さんだ。
返事なんて返ってくるはずは、ないんだ。
羽島 あいの
羽島 あいの
あめ君….私は
その時…背後に誰かが
立っている事に気付いた。
林 結海
林 結海
あめ
自分から、逃げてはダメ…
七池 あめ
七池 あめ
結海ゆうみ姉さん
林 結海
林 結海
あめの、こと
その程度で嫌いになってしまうなら…
彼女とは一緒にいれない
林 結海
林 結海
この先…2人が、いつまでも
一緒にいられる保証なんて
どこにもないの
林 結海
林 結海
離れ離れになっても、時間が
経っても、それでも、その相手の
事を思うなら…それが
林 結海
林 結海
人を愛すると、いうことなんじゃない?
七池 あめ
七池 あめ
愛する…ということ
気付くと、結海姉さんも、羽島さん
の姿も消えていた。

俺は、俺自身…どうしたいんだ。
ずっと学生で、いられるわけでも
ない…

卒業したら、羽島さんの隣に
今みたいにずっといられない

かもしれない。
それでも、羽島さんと一緒に

歩んでいくには、彼女が
傷つくことも、考えながら

過ごさなといけない。
違う進路になった時…

彼女の手を、離さないためには
どうすればいいのだろうか…
七池 あめ
七池 あめ
俺が、決めなきゃ
七池 あめ
七池 あめ
そして、羽島さんが
俺から離れていってしまったと
しても…
七池 あめ
七池 あめ
後悔する道を、選ばないで
真剣に未来を考えたい。
そして、それでも
まだ…羽島さんが、横にいてくれるなら
すごく嬉しい。
気がつくと、ベッドから、ズレ落ちて
いた。
朝の6時は、とても静かだった。
七池 あめ
七池 あめ
そろそろ、真剣に考えなくちゃ
自分の進む道を…
カーテンを、開けると
朝日が、見えてとても綺麗だった。

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