第15話

♯15 バレンタインの準備
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2020/01/18 04:00
季節は巡り…もうすぐバレンタイン
の時期となりました・・・
小枝 光
小枝 光
だから、今年はチョコあげないって
言ってるのに…ひびきのやつ
へそ曲げて…すねてるの
羽島 あいの
羽島 あいの
毎年もらってたのに、今年から
急にもらえなくなったら、すねるんじゃない?
バレンタインまで、残り1週間を
切った学校の、教室では

数名の女子が、バレンタイントークで
盛り上がっていた。
羽島 あいの
羽島 あいの
チョコとか、誰かに
渡した事ないなあ…
羽島 あいの
羽島 あいの
いつも、友チョコだったから…
私が、そう言うと、ひかり
少し考え込むような、仕草をする。
小枝 光
小枝 光
友チョコ…いいね!
今年は、私と作ってみない?
小枝 光
小枝 光
チョコレート!
私、作るのは上手くないけど
あいのと、2人で作ってみたいかも
羽島 あいの
羽島 あいの
わ、私も!光とチョコ作りたい
えっと、放課後でいいかな?
私も、なんだか嬉しくなる。
高校1年生になって、光と友達に

なり…バレンタインのチョコを
一緒に作れるなんて今から

ワクワクがとまらない。
小枝 光
小枝 光
確か…今日はいつもより
はやく授業が終わるわよね?
羽島 あいの
羽島 あいの
じゃあ、今日作る?
小枝 光
小枝 光
ふふふ…正確には
チョコ作り練習ね…
小枝 光
小枝 光
あいの、あめ君にも
作ってあげたら?そしたら…
喜ぶんじゃない?
羽島 あいの
羽島 あいの
でも、手作りって
上手くいくかな…ちょっと心配
光は、「だから練習するんでしょ」
と笑っていた。
放課後になり…あめ君に
事情を話すため、第2音楽室に向かう。
ガラー

扉を、開けると、あめ君が
いつものようにギターを

弾いていた。
七池 あめ
七池 あめ
あ、羽島さん
羽島 あいの
羽島 あいの
あ、あめ君…
しばらく…1週間ぐらい
ここに来れないかもしれないんだ
七池 あめ
七池 あめ
・・・そうなの?
あめ君は、ギターを横に下ろすと
私を見つめる。
羽島 あいの
羽島 あいの
でも、上手に作れるように
頑張るから!じゃあ、また明日
ガラーと、再びドアを
閉め…フウと深呼吸する。

い、今ので伝わったかな?
よし、光の所へ急ごう。

私は、駆け足で光が待つ、校門前へと
向かった。
七池 あめ
七池 あめ
また、なんか
始めるのかな?
七池 あめ
七池 あめ
でも、羽島さんが
楽しそうだから、いいか
光と、合流すると
私は、初めて光の家に行くことになった。
小枝 光
小枝 光
ここ(学校)から、30分ぐらい
歩くけどいい?
羽島 あいの
羽島 あいの
うん、大丈夫
私と、光は普段は
べつ別の方向に帰るのだけど…

今日は、光と一緒に下校している。
なんか新鮮だなぁ
そして…歩くこと30分弱…
小枝 光
小枝 光
着いた、ここよ
羽島 あいの
羽島 あいの
おお…
私は、マンションに住んでいるけど
光の家は、一軒家だった。

小さな庭も、少しあり…
住宅地の中にあるといった所だろうか…
小枝 光
小枝 光
さ、はやく
中に入りましょう。
羽島 あいの
羽島 あいの
あ、そうだね
家に入るやいなや、すぐに
ガチャンと光は鍵を閉めてしまった。
小枝 光
小枝 光
まあ、鍵をかけても…無駄でしょうけど
一応邪魔が入らないようにね…
光は、目を細めて笑った。
笑っているのに、少し怖い気が

するのは、何故だろう?
邪魔って…たぶんひびき
の、ことだよね?
荷物を、置き
光にエプロンを貸してもらう。

手を洗い、板チョコをまな板の
上に置くと準備は、完了。
羽島 あいの
羽島 あいの
なんか、本格的だね?
小枝 光
小枝 光
そう?こんなものじゃない?
さすが、光…
板チョコが冷蔵庫に、入ってる次点で

本当は、響君にも作ってあげようと
してたんじゃないかと、思ってしまったけど

それは、言わないでおこう…
小枝 光
小枝 光
そうね、今回は
小枝 光
小枝 光
型にチョコを入れて、固めた奴に
小さな棒をさして、キャンディー
みたいな見た目にしようか?
羽島 あいの
羽島 あいの
何それ!可愛い
やってみよう
その後私たちは、チョコを刻んだり
湯煎して溶かしたり、型に入れたりと

せっせとチョコレート作りに
励んでいた。
小枝 光
小枝 光
うん、じゃあ…これを
固めて冷蔵庫に
光が、チョコレートを
冷蔵庫に入れようと持ち上げた

瞬間…ガラーと勢い良く
リビングのドアが開いた。
羽島 あいの
羽島 あいの
小枝 光
小枝 光
鹿松 響
鹿松 響
ああ!それ
もしかして、チョコ?
鹿松 響
鹿松 響
やっぱり、作ってたんじゃん!
アハハ
響君登場!!

ケラケラと、光を指差しながら
笑っている彼を、光が

呆れたような顔で、見つめる。
小枝 光
小枝 光
やっぱり、入って来たわね
羽島 あいの
羽島 あいの
でも、どうやって?
鹿松 響
鹿松 響
あ、おばさんが
ちょうど忘れ物、取りに戻って来たとき
声かけたら、「中に入ったら?」って
言ってもらえた〜
羽島 あいの
羽島 あいの
なるほど…
小枝 光
小枝 光
母さん…やってくれるわね
鹿松 響
鹿松 響
で〜、それは
誰にあげるチョコ?
もちろん俺〜
響君は、光の持つチョコレートを
受け取ると、まだ固まっていない

チョコを、嬉しそうに眺める。
小枝 光
小枝 光
残念、これは
練習用。それに、食べても
まだ、固まってないわよ?
羽島 あいの
羽島 あいの
固まったら、響君
食べてもいいよ
鹿松 響
鹿松 響
じゃあ、はやく
固まれ!!
光は、響君から
チョコを、取り返すと冷蔵庫に
しまった。
小枝 光
小枝 光
響…悪いけど
もう、私じゃなくても
チョコは、もらえるでしょう?
羽島 あいの
羽島 あいの
光?
鹿松 響
鹿松 響
で、でも…
俺は、今年も光からのチョコが
食いたい。
小枝 光
小枝 光
去年ぐらいから、本命じゃ
ないにしても…女子や、男子から
チョコレート貰えるようになったじゃない
小枝 光
小枝 光
私は、響きが1つも
もらえないって、落ち込んでたから
しょうがなくあげてた、だけよ
羽島 あいの
羽島 あいの
光…
鹿松 響
鹿松 響
鹿松 響
鹿松 響
しょうがなく、なんて…
言うなよ!!
鹿松 響
鹿松 響
同情なんか、すんなよ!!
もう、知らねぇ!!
響君は、そのまま
立ち去ってしまった。
小枝 光
小枝 光
・・・
羽島 あいの
羽島 あいの
光、どうして
あんなことを言ったの?
2人のやりとりを、見てれば
わかる…光は、同情なんて

本当はしていないってこと。
小枝 光
小枝 光
はは、わかんない
小枝 光
小枝 光
ただ、響は自分が思ってるより
ずっと、人気があるのよ
小枝 光
小枝 光
たぶん、いつも私が幼なじみ
として、響の隣にいたけど
小枝 光
小枝 光
高校が別に、なってから…
私が、面倒見なくてもちゃんと
やれてるし
小枝 光
小枝 光
だから、私なんかが
チョコあげなくても…響は
困らないのよ
嘘だ…光は、そんなこと
絶対思ってないよ。

響君だって、他の子にチョコ貰える
ようになっても…わざわざ

光の所へ、来るんだから。
羽島 あいの
羽島 あいの
光、響君は
光のチョコが欲しいって言ってたよ
小枝 光
小枝 光
あいつは、いつも
そうだから…
初めて、見た。
こんな、悲しそうな光…

いつも、明るくて
頼りがいがあって、強くて…

でも、いつも助けてもらってる分
私も、光の役に立ちたい!
羽島 あいの
羽島 あいの
気がついてる?
響君は、光に蹴られても
殴られても…いつも笑ってるのに
羽島 あいの
羽島 あいの
さっきは、違った。
悲しんでた。いや…怒ってたんだよ
羽島 あいの
羽島 あいの
光が、イヤイヤ自分のチョコを
作ってるって、勘違いして…
光は、しょうがなくて、チョコを、
響君に作ってたわけじゃないでしょ?
私は、冷蔵庫を
指差す。
羽島 あいの
羽島 あいの
初めて、冷蔵庫を見た時
板チョコが、たくさん入ってた。
羽島 あいの
羽島 あいの
これだって、毎年響君に
作ってるから…今年も、用意してたんだよね。
気がついて!光…

自分の、本当の気持ちに…
小枝 光
小枝 光
私は、本当は…
響に同情して、イヤイヤ
作ってたわけじゃない…でも
小枝 光
小枝 光
高校生にもなって、ただの幼馴染って
だけの理由で…響の近くにいられる
のは、迷惑だって
光は、顔をしかめる。
小枝 光
小枝 光
この前…響の学校の女の子達に
そう言われて…
羽島 あいの
羽島 あいの
えっ
知らなかった。光は、それを気にして

たんだ…

だから、チョコは、もうあげないって

言ったんだ。

たぶん、響君も知らなかった
話だ。

私は、今にも泣きそうな親友の手を





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