ガチャッ、
DREAMの楽屋前まで来ると人が慌ただしく、楽屋の中を行ったり来たりしているのがわかった。
それは多分、ジェミンが倒れたから…
私にどうにか出来るわけない、て思ったけど
どうにかなるかなんて段階じゃなくて、どうにかしなきゃいけないんだ。
ガチャッ、
楽屋に入ると、まず目に飛び込んできたのはチソンで
私が来たのを確認すると、
と言って彼も楽屋から出ていった。
それ以降、楽屋にスタッフさんが入ってくることもメンバーが入ってくることもパタリとやんだ。
つまり、2人だけ。
楽屋は6人いるからなのか広くて右奥にも続いているようだった。
多分ジェミンはそこにいる。
そう思って、ひょこっと奥を覗いてみた。
ただ、一瞬…一瞬覗いただけなのにジェミンと目が合った。
咄嗟にまた隠れてしまったけど…
私を呼ぶ声がしたと思ったらバタッと聞こえて、
ソファから落ちてるジェミンが居た。
もちろん手を差し伸べようと右手を動かしたけれど、ジェミンに手を払われてしまう。
その言い方は凄くトゲがあって、いかにも私を邪魔者かのように言った。
いつもの私ならこの時点で帰ってた。これ以上自分が辛くなるのが怖くて。
でも、今日は違うもんね
私はジェミンの前にしゃがみこんで、
と言った。
、
その時の顔だけ一瞬、昔のジェミンに見えた。
まだ茶髪だったあの頃。
彼の目からは涙が流れていて私の言葉が嬉しかったのか悲しかったのかさえも分からない。
ジェミンのその泣き顔を見て頭にきた。
は?何言ってんのこいつって。
1回の息継ぎで全てを言いきった。
今までの不満も、今思ったことも全部。それほど頭にきたのかもしれない。
でも、ここ最近本気で怒ることもなかったかもしれないから少し新鮮な気もする。
多分、普通の人ならキレる。
このタイミング、この雰囲気の中ナルシストをぶちかましてきてんだから
そう言ってジェミンは床の上に座り直すと私を手招きで膝の上に座るよう言ってくる。
ジェミンが私を膝の上に座らせる時は何かと甘えたい時。
だから、絶対ジェミンは今心を許してくれたんだよねっ?
、
、
満面の笑みでそう答えたジェミンと私は4年ぶりのキスを交わした。
昔と変わらない、少し子供っぽいキス。
もしかしたら、間違った道を元に戻る時戻りすぎて私たちは性格まで若返ってしまったんじゃないかってほどウブな気持ち。
でも、多分それは間違いじゃなくて…正解の道を辿る時また一緒に成長していけたらいいなって少し思ったの
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。