第78話

🦊
1,243
2021/07/27 12:54
ガタン……ゴトン、、、















電車が揺れる音がして目が覚める。






あれ、、私以外に乗ってる人居ない…。終点まで行く人って少ないのかな、
















なんて考えたけれど、周りの景色が明らかに違うことに気づく。





どこか見覚えがあるのに、思い出せないような…
U
U
なにこれ…







空が、赤黒かった。


外の景色が暗くて不気味だった。












ここが“死後の世界”かと勘違いしてしまうほどに。









放送““きさらぎ駅。きさらぎ駅。””




















放送が流れると、電車が止まる。


それに、伴って体が揺れる。



ドアが開いて、降りるなと体全体が拒否するのに勝手に体が電車から降りる。
























駅には


“きさらぎ駅”


とだけ書いてあって駅員さんも居らず、改札も開いたまま。








ただ、不気味な世界が広がっていた。

















そのまま線路に降りてでも歩いて、帰ろうとすればよかったのに、





私は歩いて奥へ進んだ。


薄暗くまるで空間がうねうねしているような森の中へ。











_____________








どれくらい時間が経ったのか分からない。


スマホは圏外だし、駅に戻る道も分からない。








それに、気のせいなのかさっきから足音が追いかけてくる様な。

気の所為であって。




私はただ、仁俊哥に会いたいだけだから。



















そう思いながらも疲れて座り込む私に足音が近づいてきた。





もう、ダメかもしれない…














そう思って目をぎゅっと瞑った。






























___なんで、


ロンジュン
ロンジュン
なんでここにいんのっ……?あなた、
U
U
……え、っ…?
U
U
仁俊哥っ…!








ぎゅっと後ろからの温かさを感じると、そこには大好きで大好きでたまらなかった仁俊哥。







ぎゅっっっと壊れそうなくらいに抱きしめた。



もう二度と居なくならないで。そんな気持ちが籠ってたと思う。

ロンジュン
ロンジュン
ここは、ダメだっ早く電車に戻って
ロンジュン
ロンジュン
じゃないと…またっ、、






仁俊哥らしくもなく泣いていた。



涙を流しながら必死に私の肩を掴んで訴えている。
ロンジュン
ロンジュン
じゃないとまたっ…あなたが死んじゃうっ










言葉を失った。



“また”??







私は生きてる。

今まで死んだことなんて…ないのに

















いや、確か韓国へ行った時、記憶を思い出した時に……?





「なんで私死んでないの?」







そう声を漏らしたはず。























え、、じゃあ……………なんで?
U
U
っ、仁俊哥ッ……説明してっ!!なんで私生きてるの!?
U
U
早くっ、、…なんでっ、?








自然と涙が溢れた。





だって、……っ…なぜ私が生きているのかなんて想像がついたから。



















私の問いに気まずそうに目を逸らす仁俊哥。




……っ……

U
U
身代わりになったの…?




声に出したくもない、信じたくもない事実を口に出した。



だって、ウィンウィンさんの話を聞く限りあの時私は死んだはずだから。











それに………ここに来るまでの景色に見覚えがあったのは1度ここに来たことがあるから。



だったらここは死後の世界で仁俊哥が代わりになったとしか考えられない。












U
U
私ね、聞いたことあるよ…。
死者と生者を繋ぐ唯一の場所があるって
U
U
ここはそこなんだね、




私の目には涙が溢れていた。抑えきれないほどに沢山。




ロンジュン
ロンジュン
きいて、っあなた。
ロンジュン
ロンジュン
信じられないかもだけどここはいつも俺らが会ってたあの廃坑なんだっ、
U
U
えっ…!?






面影すらも感じない。



いつもいた場所なのにこんなにも雰囲気が違うだけで同じ場所とは思えない。










ロンジュン
ロンジュン
それで…俺はあなたが事故にあった数日後に終点までの電車に乗った。

























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ロンジュン
ロンジュン
乗ったはずだったっ…
ロンジュン
ロンジュン
今のあなたみたいに迷い込んだんだ、この生死の境目に









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