そう言って窓に近づきシャッとカーテンを開けると、初夏の眩しい朝日が差し込んできて、その光に目を細めながら大きく伸びをする。
うーん、今日もいい天気!
執事に制服をとってもらって、ササッと着替えた。
お気に入りの、チェック柄のリボンを胸元につけて完成。
朝食を食べていざ学校へ。
私は車に乗り込んで窓の外の景色を眺めた。
_____私の名前は白濱あなた。
日本一の財閥令嬢で、皇峯学院に通っている高校1年生の16歳。
皇峯学院は、大企業の子息や名家の令嬢も通う、いわゆるお金持ち学校。
海外でも名高い建築士が建てた校舎は、まるでどこかの宮殿のように煌びやかで美しいことで全国でも有名。
他にも、ブレザーの色が光沢感のあるホワイトという珍しいデザインの制服や、勉強とスポーツ両方に力を入れていることでも知られている。
しばらくして、外車がずらりと並んだ駐車場に到着し、執事にドアを開けてもらって外に降り立つ。
私は笑顔でそう返して鞄を受け取り、校門をくぐった。
教室に着くと、親友の佐藤美樹が真っ先に私に挨拶してくれる。
美樹は1歳年上の、五十嵐亮太先輩に恋をしている。
先輩は爽やか系で、キラキラした笑顔が眩しいテニス部のエース。
航空会社社長の御曹司で、美樹はお父さんに連れられて行ったパーティーで知り合ったらしく、そこでダンスに誘われて一目惚れしたとかなんとか……。
あの先輩、なんか裏がありそうだけどな……。
ちょっと笑顔が胡散臭い気がするし、何人も女の子を泣かせたっていう噂を少し前に聞いたし……。
美樹はまさに"恋は盲目"という感じで、そんな噂を全然信じてないみたいだけど。
そんなこと言われたって……。
そう言うと美樹は自分の席に戻っていった。
恋かぁ……。"あのこと"があってから、そんな気分になれないんだよねぇ……。
思い出してまた気分が沈みそうになり、慌てて首を振る。
……いつまでも落ち込んでちゃダメダメ!
私は気持ちを切り替えて、授業を受けた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!