第2話

出会い
7,690
2020/12/09 10:30
執事
おはようございます、お嬢様
白濱(なまえ)
白濱あなた
ふわぁ……。おはよう!
そう言って窓に近づきシャッとカーテンを開けると、初夏の眩しい朝日が差し込んできて、その光に目を細めながら大きく伸びをする。



うーん、今日もいい天気!
執事
お嬢様、そろそろお支度を
白濱(なまえ)
白濱あなた
はーい
執事に制服をとってもらって、ササッと着替えた。



お気に入りの、チェック柄のリボンを胸元につけて完成。
執事
今日もお車でよろしいですか?
白濱(なまえ)
白濱あなた
ええ。よろしくお願いします
執事
かしこまりました
朝食を食べていざ学校へ。



私は車に乗り込んで窓の外の景色を眺めた。



_____私の名前は白濱あなた。



日本一の財閥令嬢で、皇峯学院に通っている高校1年生の16歳。



皇峯学院は、大企業の子息や名家の令嬢も通う、いわゆるお金持ち学校。



海外でも名高い建築士が建てた校舎は、まるでどこかの宮殿のように煌びやかで美しいことで全国でも有名。



他にも、ブレザーの色が光沢感のあるホワイトという珍しいデザインの制服や、勉強とスポーツ両方に力を入れていることでも知られている。



しばらくして、外車がずらりと並んだ駐車場に到着し、執事にドアを開けてもらって外に降り立つ。
執事
いってらっしゃいませ、お嬢様
白濱(なまえ)
白濱あなた
いってきます
私は笑顔でそう返して鞄を受け取り、校門をくぐった。
佐藤美樹
佐藤美樹
おはよ、あなた!
教室に着くと、親友の佐藤美樹が真っ先に私に挨拶してくれる。
白濱(なまえ)
白濱あなた
おはよ、美樹。なんかご機嫌だね
佐藤美樹
佐藤美樹
あ、わかる?実は今日も先輩に話しかけられたの!!
白濱(なまえ)
白濱あなた
よかったじゃない!
美樹は1歳年上の、五十嵐亮太先輩に恋をしている。



先輩は爽やか系で、キラキラした笑顔が眩しいテニス部のエース。



航空会社社長の御曹司で、美樹はお父さんに連れられて行ったパーティーで知り合ったらしく、そこでダンスに誘われて一目惚れしたとかなんとか……。
佐藤美樹
佐藤美樹
もう先輩かっこよすぎ〜!
白濱(なまえ)
白濱あなた
へ、へぇ……
あの先輩、なんか裏がありそうだけどな……。



ちょっと笑顔が胡散臭い気がするし、何人も女の子を泣かせたっていう噂を少し前に聞いたし……。



美樹はまさに"恋は盲目"という感じで、そんな噂を全然信じてないみたいだけど。
佐藤美樹
佐藤美樹
もう!興味なさそうな顔して!いい加減、あなたも恋しなさい!!
白濱(なまえ)
白濱あなた
え〜……
そんなこと言われたって……。
佐藤美樹
佐藤美樹
はあ、まあいいわ。授業始まるよっ
そう言うと美樹は自分の席に戻っていった。



恋かぁ……。"あのこと"があってから、そんな気分になれないんだよねぇ……。



思い出してまた気分が沈みそうになり、慌てて首を振る。



……いつまでも落ち込んでちゃダメダメ!



私は気持ちを切り替えて、授業を受けた。

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