第2話

彼 女 は / 彼 は
267
2020/06/16 01:39
相川真冬
相川真冬
……??
少年…?
少年…?
君にだけ!教えよう!私は女だ!
相川真冬
相川真冬
?…………!?
唐突の事で、信じられなかった。
男子校に女の子が…?紅一点?そんなものじゃない
相川真冬
相川真冬
ど、どうして
少年…?
少年…?
虐められたからだよ
サラッと、一つ。
彼女……?は、凄く可笑しい。というか、何故死ぬ間際の僕にそんな事を?言ったって何の意味もない。同情のつもりか?そんなのは要る必要じゃない、もっと、もっと前に
少年…?
少年…?
私の名前は真夏雪!
真夏雪
真夏雪
…君を、救って差し上げよう。
それが僕と雪ちゃんの、出会いだった。


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真夏雪
真夏雪
真夏雪、ゆきが本名だが、学校ではせつが名前として通っている。
私は女だ。
胸はさらしを巻き、髪は伸ばした儘がいいから、適当に結んでいる。これが結構バレないもので、男の娘、何て言われてたりするのだが、女子校での生活よりか楽だった。

女は泥々している。それはもう底無し沼かと思う程恐ろしく、おどろおどろしい雰囲気を放っているのだ。何度もその本性に吐き気を覚え、その本性に脅かされた。
要するに、同性が怖いのだ。何だってグループを組み、そのグループ総出で虐めに来るのだろうか。
真夏雪
真夏雪
君は、何か苦しんでいるのか?
そう、俯いた彼に尋ねた。
相川真冬
相川真冬
ぼ、くは…。
吃り乍も、慎重に答えていく。
嗚呼、昔の私の様だ、怯えて、人に声を掛ける事すら儘ならない、昔の私だ。
虐めを告発すれば間違いなく返り討ちにあう、その恐怖心が彼を雁字搦めにしている、嗚呼、そっくりだ。
真夏雪
真夏雪
怖ければ答えなくて良い。
僕、上を向き給え。
グイッと顎を指で無理矢理上げ、至近距離で目を合わせる。
相川真冬
相川真冬
ひっ…!
真夏雪
真夏雪
…何かあれば私を頼れ、出来る事なら何でもするよ。君が人間を信用出来るように。


そうして、私は屋上を去った。

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