唐突の事で、信じられなかった。
男子校に女の子が…?紅一点?そんなものじゃない
サラッと、一つ。
彼女……?は、凄く可笑しい。というか、何故死ぬ間際の僕にそんな事を?言ったって何の意味もない。同情のつもりか?そんなのは要る必要じゃない、もっと、もっと前に
それが僕と雪ちゃんの、出会いだった。
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私は女だ。
胸はさらしを巻き、髪は伸ばした儘がいいから、適当に結んでいる。これが結構バレないもので、男の娘、何て言われてたりするのだが、女子校での生活よりか楽だった。
女は泥々している。それはもう底無し沼かと思う程恐ろしく、おどろおどろしい雰囲気を放っているのだ。何度もその本性に吐き気を覚え、その本性に脅かされた。
要するに、同性が怖いのだ。何だってグループを組み、そのグループ総出で虐めに来るのだろうか。
そう、俯いた彼に尋ねた。
吃り乍も、慎重に答えていく。
嗚呼、昔の私の様だ、怯えて、人に声を掛ける事すら儘ならない、昔の私だ。
虐めを告発すれば間違いなく返り討ちにあう、その恐怖心が彼を雁字搦めにしている、嗚呼、そっくりだ。
グイッと顎を指で無理矢理上げ、至近距離で目を合わせる。
そうして、私は屋上を去った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!