第15話

14話
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2021/08/13 15:00
涼風 舞
ねぇねぇ、何食べる?
佐藤 樹
なんでもいいよ。
歩き出したはいいもののさっきからこの会話ばかり。
涼風 舞
もぉー。
さっきからそればっかりじゃん。
涼風 舞
私が食べたいものでいいの?
どうしてか分からないけどなんだか上手く喋れない。

まるで口を縫われたみたいに。
佐藤 樹
あ、うん。
それにさっきから心臓がとてもせわしなく動いている。

さっきからこの現象はなんなんだよ。
涼風 舞
じゃあやっぱりお祭りで食べるものと言えば焼きそばでしょ!!
すっごく盛り上がってる君と対象的な僕。

……釣り合わないなぁ。
佐藤 樹
そうだね。
涼風 舞
君ももうちょっと盛り上がろうよ!
そう言って君は僕の顔に手を近づけてむにーっと頬を引っ張った。
佐藤 樹
いだぁいって
涼風 舞
ほーら。
ちょっと表情が柔らかくなった。
そう言って君はふふっと笑った。

君の長いロングの髪が夜風よかぜでなびく。

そんな君の姿に反応したのか僕の心臓がドクンっと飛び跳ねた。

この感じやっぱり……
佐藤 樹
(恋、なのか?)
うすうす僕だって分かっていた。

でもやっぱり幽霊だからって思って逃げてしまったんだよな。

この気持ちに。
涼風 舞
ん?
固まってどうしたの?
もちもちと君が僕の頬をつつく。

その瞬間僕の体からボッっと火が出たかのように赤く、熱くなった。
佐藤 樹
いや、別に。
佐藤 樹
それより焼きそば、どれぐらい頼む?
なんだか恋と実感した途端恥ずかしくなって話題を逸らしてしまう。
涼風 舞
えーっとサイズはSとMとLとか、カップル専用……
カップル専用。

その言葉を聞いた瞬間、僕の体がピクリと反応する。
佐藤 樹
ほ、僕はMサイズがイイと思うなァ
なんだか僕の口から発せられた言葉はカタコトで自分でもなんて言ってるのか分からない。
涼風 舞
店員さん〜
そんな僕の言葉を無視して彼女は焼きそばを作っている店員さんに声をかける。
焼きそば屋の店員
はい〜
何かご注文ですか?
こういう営業に慣れているのか店員さんは手を止めて彼女に優しく話しかける。
涼風 舞
カップル専用の焼きそば1つ下さい!
あと割り箸を2つ付けて貰えますか?
彼女がその言葉を発した途端僕の体が石化するかのように固まった。
焼きそば屋の店員
はい!
かしこまりました〜
店員さんはニマニマと僕と彼女を交互に見ながら焼きそばを淡々と包装している。

僕は恥ずかしくて縮こまり、君はやってやった!とでも言わんばかりの顔で僕を見ている。
焼きそば屋の店員
はい!
いっちょあがり。
焼きそば屋の店員
お二人さん末永く頑張ってね〜
焼きそばの店員さんはふりふりと僕達に手を振る。

悪気は無いんだろうけど凄く気まずいし恥ずかしい。
涼風 舞
はーい。
ありがとうございます。
君はその店員さんに手を振り返す。

それにつられて恥ずかしかったけど僕も小さく手を振った。

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