第7話

6話
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2021/08/13 15:00
涼風 舞
君の名前は佐藤  樹さとう いつきでしょ?
僕が自己紹介をする前に彼女が僕の名前を口にした。
佐藤 樹
へ?
なんで僕の名前、知ってるの……?
君とは話した事も、ましてや会ったことも無いのに。
涼風 舞
うーん。
それはワタシが幽霊だから……かな?
君はそう言ってにっこりと笑った。

ちょっと不思議ちゃんのような空気をまとった君。
佐藤 樹
不思議ちゃんは、なんでここにいるの?
なんか名前を呼ぶのは恥ずかしくて咄嗟に不思議ちゃんって言ってしまった。
涼風 舞
不思議ちゃん……ねw
面白いこと言うじゃん。
涼風 舞
……ワタシは今から999年前に起きた
地震のせいで死んだ巫女の子供。
だから地縛霊って事になるんじゃない?
巫女の……子供?

巫女の人じゃなくて?
佐藤 樹
地震の噂では巫女の人がいるって聞いたんだけど……?
聞いていた話だと巫女の本人が人を襲うって話だったはずだ。

噂が広がる時に何か手違いがあって噂の内容が変わっちゃったのかな?
涼風 舞
へーそうだったんだ!
噂についてはワタシ、なんにも知らないから分かんないよ〜
そう言って君は首を傾げてみせた。
佐藤 樹
えっ?
そうなの!?
てっきり噂があるから人がよって来るわけだし、脅かしたくているのかと思ってた。
涼風 舞
うん!
だって誰もここに来ないんだもん。
涼風 舞
だから君が初めて。
僕が……初めて?

そんなはずある訳ないだろ。

だって実際に噂が……。
佐藤 樹
な、なんで?
それに、僕が初めてって……?
こんな噂がたっているのに誰1人として見にこないなんて……そんな事あるのか?
涼風 舞
なんでって言われても、実際に君が初めてだし……。
そう言って君はちょっと困ったような顔をした。
佐藤 樹
じゃあ不思議ちゃんはなんでここにいるの?
君が幽霊だとしたら未練がある……とか?

ほら、よくあるホラー映画とかの定番のスタイルみたいな。
涼風 舞
大切な人に会いに来たの。
涼風 舞
でもねその人、もうワタシの事忘れちゃったみたい。
涼風 舞
だから、その人がワタシの事思い出してくれるまでずっとここにいる……かな。
悲しいはずなのに君は笑顔を崩さない。

そんな君の様子に動揺したのか僕の心臓がドキッと跳ねた……ような気がした。
佐藤 樹
そ、そうなんだ。
佐藤 樹
だけど君が言っている人、最低野郎だね。
こんなに可愛い子の事を忘れちゃうなんて。

それに、君はその人が好き……みたいだし。

なんだか聞いていてモヤモヤするというか、なんだか歯痒いよね。
涼風 舞
最低野郎……ねぇ。
そんな事言ったら君だって同じような物じゃないの?
君は僕を見つめながらそう言った。

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