第22話

21話
9,999
2023/09/08 12:51


昼休みが終わり、俺はいつも通り授業を受けている。

日向 翔陽
……

最初から不思議には思ってた。

あんなにバレーうまいのに、なんでバレーやってないんだろう、
なんでいつも部活の話になるとはぐらかされるんだろうって。


それに、ノヤさんはともかく、大地さんの名前をすぐに出したこともあった。


ってことはつまり……



あなたの名字さんはバレー大好きでバレー部に憧れてるけど、事情があって入部できない...?
日向 翔陽
なるほど、そういうことか!!
先生
お、お前が授業理解するなんて珍しい
先生
今日はちゃんと聞いてたんだな
日向 翔陽
え、あ、ハイ
先生
じゃあここ解いてみろ


先生は黒板をチョークで指して、俺に期待の眼差しを向けてくる。
日向 翔陽
…えと、ワカリマセン

俺がそう答えたと同時に、クラスは笑いで溢れた。

うぅ、少し恥ずかしいかもしれない。








あなた
…よし

忘れ物がないことを確認し、いつもの如く帰ろうとしたとき
先生
お!あなたの名字いいところに

担任の先生に呼び止められてしまった。

こういう呼び止められ方をしたら、ほとんどの場合雑用を手伝わされるんだよな。
先生
お前田中と仲良いよな?
あなた
はい、一応...
先生
これ田中に渡しといてくれないか?
先生
先生今から会議なんだ、頼む!
あなた
もちろんいいですけど
先生
流石あなたの名字!ありがとう!


先生から渡されたのは、どうやら進路希望調査の再提出用紙のようだった。

何をどうしたら再提出くらうんだよ...。



……とりあえず、こういうのはしっかり期日あるし、今日中に渡した方いいだろうか。


少し遅くまで残って損した。
テスト勉強で残らずにすぐ帰るべきだったな。
あなた
田中は…この時間だとやっぱ部活か


じゃあ体育館いかなきゃだ。
あなた
潔子さん呼んで変わりに渡してもらおうかな

あの人なら僕が来たこと黙っててくれそうだ。














あなた
…ついた


体育館からは、懐かしいような靴と床が擦れる音や、ボールを打ち付ける音が聞こえる。


……やりたいなぁ。

一瞬そう思ったが、今自分にそんな権利はないことくらいわかっている。
けじめをつけてないんだから。




…これ、堂々と入口から入るわけにはいかないよね。
絶対注目浴びるだろうし、西谷と田中と日向辺りがうるさそう。


んー、ちょっと様子見ってことで窓から覗いてみよ。



覗いた先は、久しぶりに見た楽しそうな練習風景だった。
何ヶ月もやっていないせいなのか、いいなぁという気持ちが溢れてくる。


お、あの2人見たことない。

メガネかけてる奴でか!?
もう1人もだいぶ大きい…。
あなた
羨ましい…


もう少し見渡してみると、驚きの人物がいた。

坂ノ下商店の店員さん、なんでいるの!?
びっくりもびっくりだよ。
あなた
…東峰先輩
そう呟いた僕の目線の先には、案の定東峰先輩がいる。

前よりもスパイクのキレが上がっていて、流石だなぁと驚いた。
さらに驚いたのは、トスをあげているのはスガさんではなく、影山だったことだ。


そっか。
影山が来たってことは、そういうことになるのか。


流石に見すぎるとバレるかなと思ったので、覗くのをやめて壁に反ってしゃがんだ。


僕いなくても、変わんないなぁ。
あなた
このプリント、どう渡そう


手に持っているプリントを見つめてため息をつく。

潔子さん呼び出そうったって、どっちにしろ呼ぶ時にバレる。
あなた
……どうしたもんか
……やっぱりお前か
あなた
え?

急に真横から声がしたと思ったら……。

うん、やばいかもしれない。

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