玄関の扉を開け、猫を抱き抱える。
早速リビングから顔を覗かせた母さんがこいつに気づいた。
母さんはこっちに近づいて、こいつを撫でる。
母さんは風呂場を指さしてそう言った。
これは……いいってことなのか……?
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シャワーの水をかけた途端一気に細くなったぞ……?
どうなってるんだろう……この毛。
嫌がるどころか気持ち良さそうだ……。
そういうとこいつは頭を縦に振った。
言葉わかるのかこいつ……?
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脱衣所へと出て、ドライヤーで乾かしてやる。
おぉ、フワフワに戻っていく……!
するとこいつは満足したように扉の隙間からリビングへと向かっていった。
電気を消して、あいつを追う。
どこいったんだろ……?
母さんそこは止めてくれよ……。
部屋荒らされたら片付けるの僕なんだから……。
そう思いながら、少し開いた部屋のドアに手を掛ける。
目の前のこいつは、見つかったと言わんばかりの声を出す。
僕が目の当たりにしたのは、荒らされた部屋だった。
こいつの頭を撫でてやる。
よく今の一瞬でここまでできたもんだ。
部屋で走りまくったのかな?
こいつは大人しくなるまでリビングで寝かそう。
うんそうしよう。
僕は倒れたものを拾っては元の位置に戻した。
片付けていると、足元に何かが転がってきた。
黄色と青のバレーボール。
……2ヶ月くらい前に買ったやつだ。
……ボールを見ると練習したくなってくるのは
まだ治らない、か。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。