バビルスに行くため、と猛勉強を始め魔界の言葉である程度話せるようになってきた頃。
今日も必死に(日本で言う小学生向けの)教科書と向き合う皆に、マルクが声をかける。
よし、少し休憩にしようか。魔茶を淹れてくるね。
なら僕手伝います!
はぁ~…もー無理、頭壊れそう…。
ここの所ずっと勉強漬けだもんね…。
でも、魔界で生きていくためにはやっぱりこれくらいの知識は必要だからね。
…流石に俺も疲れてきたけど。
へとへと、といった様子で勉強道具を片付けながら、零はそう言った。
でも…蒼玖亜さんはすごいですね。すらすら解けて…。
まぁ、推しのためって考えたらやる気出ちゃうからね!
すごいねぇ~…ふわぁ…。
でも…ねねさんも真面目に勉強するんですねぇ…。
まー確かにダルいけど、バビルスに行くためだからなぁ…。
ただタバコがないのは本当に辛い。
タバコ吸ってるって噂は本当だったんですね…ひえぇ…。
あーさっぱり理解できん。ちゃんと学校行っとけばよかったなぁ…。
あはは…。
もう蓮と光正だけが頼りだよ~。
そう蓮に泣きつく海空の頭を、コンと魔茶が乗っていたお盆で光正が叩く。
はいはい。甘えた事言ってないの、兄さん。
あっ、魔茶ありがとうございます、光正くん。
どういたしまして。
はい。皆も魔茶どうぞ。
ありがとう…ございます!
マルクさんの淹れる魔茶って本当に美味しいですね。
そうかな?
今度どうやっているのか教えてもらえませんか?
いいよ。また勉強の息抜きの時にでも教えてあげる。
そうわいわいと休憩ムードになり、皆がリラックスしている様子を見てマルクは呟く。
…でも、驚いたな。まさかサリバンさんがバビルスへの入学を許可するなんて…。
僕達もダメ元だと思っていましたし。
それに、サリバンさんの孫も入学するんだろう?しかも人間の。
初めて聞いた時には耳を疑ったよ…。
(あぁ何だ入間くんの事か。)
(入間くんの事、ですね…。)
この場の人達には共感してもらえなかった驚きを思い返しながら、それで、とマルクはテーブルの上にいくつかのカタログを出した。
サリバンさんのおかげで入学試験は形式的なものだけで済むけれど、入学後も魔法が使えないまま過ごしていくのは流石に無理があるだろう?
だから、君達に“魔法石”を渡そうと思うんだ。
魔法石…?
というと、あの、魔力がこもってて魔法が使える石の事ですか…?
すごい、よく知ってるね。
いや、それほどでも…(完全に日本でのオタク知識なんだけどな←)
海空くんの言った通り、魔法石っていうのは身に着けておくとその石に込められた魔力を使って魔法を使えるようになるものなんだ。
それで、魔法石の種類によって使える魔法の属性も異なってくるんだ。
だから、このカタログに載っている中から、自分の好きな魔法石を選んでくれないかい?
えっ…いいのか…ですか!?
これって、どれも地球で言う宝石ですよね?高いんじゃあ…。
魔界では皆自力で魔法を使えるからね。お守りや装飾品としての価値はあるけど、でも地球と比べたらずっと安く取引されているよ。
そうなんですか…。
それに皆に何かあった方が困るから。
この魔法石は、きっとこれから皆が魔界で、バビルスで生きていく中で相棒のような存在になると思う。
だから、じっくり考えて選んでね。
真剣そうな顔をしたマルクの言葉に、皆はこくりと頷く。
それを見てマルクは微笑むと、「じゃあ僕は仕事をしてくるね。」と言って自室に戻っていった。
さて、どうしましょうね…。
魔法石の種類によって属性も変わってくるんだろ?ちゃんと考えないと…。
俺これ!この黄色いヤツがいい!
えっテオ決めるの早くない?もっと慎重に選んだ方が…。
いや、俺は一目見た瞬間これしかないと思ったんだ!この…えっと…かなりーとるまりん?のネックレスしかないと!!
名前ちゃんと理解してないの?w
うっ、うっせーな!
でもこのカナリーなんちゃらって雷の魔法使えるんだろ?だったらこれだろ!
私は…このヒスイのヘアピンにしよっかな。これかわいい!
風の魔法っていうのも良い感じだし!
まりももう決まったのか…。俺はもうちょっと吟味しよっかな。
僕は闇一択かな!
この黒蝶貝っていうのを使ったチョーカーにしよっと!
蒼玖亜さんはそうするんですね…。
私はどうしよう…。ネックレスがいいんですけど…。
……時空、かな…。
わたしはダイヤモンドの指輪かなぁ…。属性選ぶのめんどうだし全属性のこれでいいや…。
はーぶっちゃけどれでもいいな()
アリスもねねも雑じゃない?もっとちゃんと選びなよ…。
相変わらず蒼玖亜は真面目だなぁ。
…んじゃ、ホワイトオパールとブルートパーズでピアスでも仕立ててもらおうかな。
つまり…時空と氷か。なるほどね…。
よし光正。合わせようぜ。
でもどうするの?光と闇があったらそこで即決だったけど…。
ん~…じゃあ代わりに時空と闇で合わせね?色的にはそれが近いっしょ。
確かに!なら僕はホワイトオパールにしようかな。
じゃあ俺はアメシストだな。この懐中時計どうよ?
おっいいね!
蓮はどうすんの?
僕は…体力がないので、せめて魔法は2属性扱えた方がいいかなと思いまして…。
流石蓮さん…兄さんも見習いなよこういう精神。
アーアーキコエナーイ()
そうですね…アクアマリンとフローライトのチョーカーにしましょうかね。
つまり…水と時空だね。攻守共にいけそう!
見た感じ時空派多めだな…まぁ確かに時空程便利な物はないと思うけど。
俺も時空…そうだな、フローライトのチョーカーにしようかな。
おっ、ここに希望するヤツ書いてって紙あった!皆書こうぜ!
そして皆は自分の相棒は決め、それを使い魔法の練習をしていった。
さぁ、いよいよバビルスに入学だ──!
* * *
作者からひと言だけ。
長くなってすみませんでした(スライディング土下座)
ちなみにマルクさんはあぁ言っていましたが魔法石はそこまで安くありません(おいひと言って話どこ行った←)
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編集部コメント
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