第15話
どうして
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その言葉を聞いて私はびっくりした。
どうしてここにボムギュが…?
授業中なのに…サボらないボムギュなのに…
久々に呼ばれた名前。
驚きが止まらなくて、
どうしようも無いまま涙を流す。
自分でもどうして泣いてるかなんてわかんない。
でもそれよりもボムギュが助けに来てくれたことが
どうしてなのか…理解できなかった。
ボムギュはそのまま私を立たせて
手を引いて保健室まで連れていかれた。
保健の先生は用事でいなくて
私とボムギュ2人きり。
これほどに気まずい空間はない。
ボムギュは口調は少しキツかったけど
優しい手つきで手当をしてくれた。
なんでなの?
あなたを忘れるために用意した何もかもが
今こうやって無駄になって
消える音が鮮明に聞こえた。
私がそういい切る前に
ボムギュはいなくなってしまった。
不思議でしか無かった。
あれだけ言っていなくなったボムギュの背中を
私にはただ見つめることしか出来なかった。
そう途方に暮れて数分経った頃。
ガラッと勢いよく扉が空いた。
テヒョンがやってきて私の名前を叫んだ。
まだ授業中のはずなのに…、なんで、
私は驚きが隠せなかった。
本当に驚いてしまって、もう言葉も出なかった。
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本当だよね…、呼んだ方が絶対早い…
でもあいにく私にはそんな勇気なくて
でも呼ばないと何も進まなくて
一旦、チェボムギュのことは
考えないでおこう、
なんて解決策のない結果となった。