第41話

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2022/01/16 08:22
三日月宗近
三日月宗近
…っ!なかなか、やるものだなぁ。今のは危なかったぞ。
あなた
あなた
ふふ。ありがとうございます。
あなたの繰り出した一撃を三日月は僅かに軌道を変えたため、あなたの刀は空を斬る。
三日月宗近
三日月宗近
熱いな。…どれ、俺も本気になるか。
あなた
あなた
(本気になった。)
目を細める三日月にあなたも神経を研ぎ澄ませる。
三日月宗近
三日月宗近
ふっ!
あなた
あなた
…っ!はぁっ!
刀が打ち合い、火花が散る。あなたと三日月は一歩も譲らない攻防を繰り返す。
燭台切光忠
燭台切光忠
すごいね。あの子…。三日月さんと互角に渡り合うなんて…。
鶴丸国永
鶴丸国永
おっ!光坊は見るのが初めてだったな。
燭台切光忠
燭台切光忠
短刀たちからは話は聞いていたけど…ここまでとは…正直思わなかった。そりゃ…時間遡行軍も1人で倒しちゃうわけだね。
鶴丸国永
鶴丸国永
まぁ、人間にしちゃ凄いよな。…どうしたら…あそこまで強くなれるのか…。
大俱利伽羅
大俱利伽羅
なかなかの…手練れだな。
鶴丸国永
鶴丸国永
おっ!伽羅坊も興味あるのか?主に頼んで稽古でもつけてもらったらどうだ?
大俱利伽羅
大俱利伽羅
馴れ合うつもりはない。
鶴丸国永
鶴丸国永
はは。そうか。まぁ、彼女をしっかり見とくんだな。彼女の本気はこれからだ。
燭台切光忠
燭台切光忠
え?鶴さん。どういう意味?
鶴丸国永
鶴丸国永
本気を出した彼女はこんなものじゃないってことだ。
鶴丸はそう言ってあなたたちに目を向けた。
鶴丸国永
鶴丸国永
(あなた…もう…君に任すしかないみたいだ。)…三日月を…この本丸を救えるのは…君だけだ。
鶴丸は小さく呟き、見つめる先には、力を活かした三日月と速さを活かしたあなたの互いに譲らない攻防が続いていた。
あなた
あなた
三日月様。
あなたは斬りかかりながら口を開いた。
あなた
あなた
三日月様は…後悔しているのですね。
呼吸の乱れもなく、あなたは言う。
三日月宗近
三日月宗近
…何?
あなたの言葉に三日月は怪訝な表情であなたを見る。
あなた
あなた
ご自身が審神者を斬らなければ…本丸はもっと違う道を歩めたはずです。
三日月宗近
三日月宗近
…。
あなた
あなた
彼らを巻き込んだと…責任を感じているのではないですか?
三日月宗近
三日月宗近
…!!
…ギン!三日月はあなたを弾き返して、間合いを取った。
三日月宗近
三日月宗近
…何が言いたい?
三日月はあなたを睨んだ。
あなた
あなた
三日月様の刀からは後悔の念を感じます。
三日月宗近
三日月宗近
…俺の所為で本丸は闇に落ちたようなもの。当然…全て俺の責任だ。
そう言って三日月は刀を構え直した。そんな三日月にあなたはゆっくり近づいた。
あなた
あなた
…それの何がいけないのですか?
三日月宗近
三日月宗近
なん…だと?
あなた
あなた
闇に染まることは…そんなに悪いことなのでしょうか?
三日月宗近
三日月宗近
…お前は…何を言っておる?
三日月がそう言って瞬いた瞬間、動いたあなたを見失った。
三日月宗近
三日月宗近
…っ!(奴は…何処へ?)
あなた
あなた
…人間もまた…闇に落ちたようなものです。…勿論…私も含め。
三日月宗近
三日月宗近
…っ!?
三日月はあなたを振り払うように太刀を振るう。
三日月宗近
三日月宗近
貴様…っ!
あなた
あなた
貴方はそれをよく知っていると思います。…人間は欲に埋もれ…闇に落ちるのです。
三日月宗近
三日月宗近
…。
あなた
あなた
それは…私も同じです。…ですが…私と貴方は違う。…貴方は大切なものを護る為に闇を纏った。…何を後悔することがあるのですか?
あなたはそう言って微笑んだ。
三日月宗近
三日月宗近
お前の…その言葉は…とても審神者とは思えんな。
あなた
あなた
私は人を斬ることを肯定しているつもりはありません。勿論、間違った行いです。…ですが…そうまでして護りたいものがあったのなら…。
あなたはそう言いながら、再び刀を構える。
あなた
あなた
…その判断を下した自分を誇るべきです。
三日月宗近
三日月宗近
…っ!
あなたはそう言うと一気に間合いを詰めた。
あなた
あなた
(これ以上は…私が…もたない。一気に終わらせる。)
三日月の太刀を難なく避け、あなたは三日月の首元へ斬りかかる。
三日月宗近
三日月宗近
…くっ!
三日月は再び、避けようとするのをあなたはさらに追い詰める。
三日月宗近
三日月宗近
…!!
あなたの刀を避けた際、三日月は微かに滑り、体制を崩す。あなたはその僅かにできた三日月の隙を見逃さなかった。
あなた
あなた
…終わりです。
あなたは三日月に目掛けて、容赦なく刀を振り下ろした。
刀剣男士たち
…。
刀剣男士たちが見守る中、あなたの刀は三日月の首元スレスレで止まり、片膝をつきながらも寸での所で反撃に出た三日月の太刀はあなたの胸元にあり、互いに牽制し合う形となっていた。
鶴丸国永
鶴丸国永
そこまで!
静寂の中、鶴丸が叫び、あなたと三日月の間に入った。
鶴丸国永
鶴丸国永
…一騎打ちは終わりだ。双方とも刀を納めるんだ。
三日月宗近
三日月宗近
止めるな。鶴丸。まだ、決着はついておらぬぞ。
鶴丸国永
鶴丸国永
いいや。勝敗は決した。
三日月宗近
三日月宗近
…なにを?
そう言った三日月の足元に三日月の髪飾りの糸が切られ、落ちていた。
三日月宗近
三日月宗近
…!!
三日月ははっとして、顔を上げ、あなたを見る。
三日月宗近
三日月宗近
…お主。これは…真剣勝負ではなかったのか?よもや…首も落とさず…俺に勝った気でいるのではあるまいな?
あなた
あなた
…。
あなたは刀を納めると地面に置き、その代わりに髪飾りを拾った。
あなた
あなた
…やはり…三日月様は…本気で私に斬られるおつもりだったのですね。
三日月宗近
三日月宗近
…。
あなた
あなた
申し訳ありませんが…それはお断りさせて頂きます。私は刀剣殺しの審神者になるつもりはありませんので。
三日月宗近
三日月宗近
…。
あなたは髪飾りを両手で包むと、霊力を使って直す。
あなた
あなた
もし…三日月様が…居なくなられたら…誰が此処を護るのですか?
三日月宗近
三日月宗近
俺は堕ちゆく仲間を助けられなかった。…俺の選択が皆を巻き込んだ。此処を護る資格など…とうにありはせんよ。
三日月はそう言って空を仰ぐ。その瞳は後悔の色で染まっていた。
三日月宗近
三日月宗近
それに…本丸と刀剣男士は本来…審神者が護るものだろう?お前になら全て託してゆけ…。
あなた
あなた
勝手を言うな。三日月宗近。
刀剣男士たち
…!!
鶴丸国永
鶴丸国永
(あなた…。)
あなたは三日月の言葉を遮り、先程までの包み込むような優しい声から怒りを纏った声で言う。

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