『侑先輩彼女できたらしいよ〜?』
『めっちゃ彼女可愛ええらしいな』
俺が最低な一言を言い放って程なくしてから
侑に彼女が出来たとちらほら耳にするようになった
『今日彼女迎えに来とるから先帰るわ〜!!!』
『侑ウザッ』
『なんやと!角名!』
その相手は言うまでもない
『あなた!』
『あ、侑!遅いよ〜!』
『すまん、練習長引いてもうて』
最低な一言を言い放ってしまった彼女だった
侑と大原さんは付き合い始めたらしい
仲睦まじく手を絡める二人を後ろから見て
やっぱり俺が隣にいる姿は想像できんかった
大原さんを見ていたら一瞬目が合ってすぐに逸らされた
どうでもよさそうな目をしとった
『治、いいの?』
『なにがや』
『あなたちゃん』
『別に好きなんて一言も言っとらんよ』
今更喚いても仕方がない
俺もさっさと忘れたい
でもそれができずに
今も大原さんを見てしまう
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。