第31話

イレギュラー
夜久side


『ねえやっくん!どっちのじゃがいもがいい?』

俺の目の前で楽しそうに品定めする彼女


夜「別にどっちだって同じだろ笑」


『ノン!わかってないな〜』

チッチッチと指を振る仕草ですら愛おしい


『東京のスーパーと宮城のスーパーで売ってるものが少し違うから面白いねぇ〜あ!まがりネギだあ!!これ教科書で見たことある!』


コレ買おうよ!と差し出されたブーメランみたいなネギをカートに入れる



…なんか夫婦みてえだな

あ、自分で言って恥ずかしくなってくるヤツだこれ


俺はブンブンと頭を振った






ピタッ


すると急にあなたが立ち止まった。


びっくりして俺も一緒に立ち止まる。




また美味しそうな野菜でも見つけたんだろうか



なんて呑気な考えはあなたの言葉ですぐに消えた





『なんかさ、、












私たち夫婦みたいじゃない?笑』









あなたは俺に爆弾を落としていった


自分の心臓がどんどん速まるのがわかる

どうしてこんないとも簡単に






俺の思考を奪うんだ、、、




夜「俺もおんなじこと思ってた笑」


そんな気持ちを悟られないように言葉を取り繕う









『お、やり〜!!やっぱうちらマブだね!』






マブ、、仲のいい友達、、、、









俺に少し期待させて

俺を簡単にショートさせたあなたの言葉は

俺が思っていた意味とは違っていた




『あ、アイス見に行こ!』

明日のデザートアイスできーまり!なんて歌っているあなたに悪気なんて微塵も感じられない











なあ、ブーメランって確か投げたら自分のところに返ってくるんだっけ



じゃあどうして、どうしてあなたの言葉は














俺に刺さったまま動かねえの?













帰り道

俺らはアイスを食べながら帰っていた


『ごめんねやっくん、そっちの荷物重いよね?』


夜「全然!しっかし結構買ったんだな笑」


『だって東京にないのばっかだったもん!そりゃ気になるでしょ!!』

あなたが喋る度にアイスの棒の先がちょんちょんと動く


『明日はまがりネギパーティーだね!』

屈託のない笑みを浮かべる彼女に悪気なんて微塵も感じられない




ふとあなたの手を見ると
さっきのブーメランみたいなネギが
レジ袋に入りきらずに顔を出していた







あぁ、そうだ


まだ微かに手に残ったシャンプーの匂いも

新幹線で放った何気ない言葉も

さっきのあの爆弾発言も






全て悪気なんてない





悪気がないからこそブーメランは










俺に刺さったまま抜けてくれないんだ










夜「あなたが持ってる方も貸して、持つから。」


『え、それはさすがに悪いよ』


夜「いーから貸して。俺もうアイス食べ終わったし」

そうぶっきらぼうに言ってあなたの荷物を持ち、少し先を歩く
















なんだか今は、あなたの顔を見たくなかった