第42話

実践って難しい
及川side


信号の赤ランプで立ち止まる





及「…………ッ」


クソ…あなたの匂いが離れてくんねえ





ぎゅっと抱きしめた時の

小さくて華奢な身体

サラサラとした髪

そして匂い

そのひとつひとつが

前と会った時と変わらなくて

俺は昔のことを思い出さないわけがなかった












その時は確か学校が午前で終わる日で

部活も午後から始めようとしてた


及「うぁあああ!シューズ家に置いてきた!!」

松「ったく、今日俺予備のシューズ持ってきてねえべ」

及「ダッシュで家帰って取ってくる!!」


岩「練習遅れたら許さねえからなくそ川!!」


岩ちゃんの叫びを聞きながら部室を飛び出して俺は一目散に走った



目先にある信号が青だったので
俺は走るスピードをあげた



頼む、この信号は渡らせてくれ…!





けどその願いは叶わず、信号はパッと赤に変わった



及「くゥ!なんで信号さんは空気読めないのサ!」

腹が立ったので、近くの電柱に1発蹴りをお見舞いしてやろうかと思って足を振り上げた







及「…え?」

しかしそこには

電柱にもたれかかって苦しそうにしている










女の子がいた



落ち着け俺 落ち着くんだ、、、!!


こういうときはAEDが先か、いや先に救急車?
まず誰かに助けを…って周りに人がいないし、




保健の授業で学習したはずなのに

いざ自分がそんな現場に立ち会うと

どうすればいいのかわからなくなる



及「と、、とりあえず、俺の家に運ぶか」

これが最善な道なのかも全くわかんなかったけど

俺は彼女の小さい身体を抱えて家まで走った







『んぅ…ん、、、んん』

俺の家に運んで何分か経った後

その子が目を覚ました


及「、!!気付いた!!?」


『え、、、ここッどこ……』

見慣れない場所に明らかに動揺している彼女を見て俺は慌てて言葉を紡ぐ
 

及「電柱の側で苦しそうにしてたから俺の家まで運んだの、って!俺別に何もしてないからね!!?」


さっきまで彼女の安否を最優先してた俺はそんなこと一切考えてなかったけど




….よくよく考えれば女の子だ


見ず知らずの人の家



ましてや男の家にあげたことに少し後悔する




『あの!!』


頭を掻き毟る俺を見て


『助け、、てくれて、ありがとうございます』


彼女はそう言って儚げに微笑んだ





その顔は弱々しいながらも向日葵みたいで


俺のそんな考えを吹っ飛ばしてくれるようだった

鼓動がとくんとくんと速まっていくのがわかる


















微笑んだ彼女はどこの誰よりも綺麗だと思った